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妄想†夢想SS 第零弾 彼氏は剣道部に所属し、性格に古風さを残すところがある一介の高校生。 彼女は見た目は幼いが、彼氏と同世代の可愛らしい普通の女の子。 二人はこの世界とは異なるおとぎ話のような国で奇跡的に出会い、縁によって結ばれました。 二人はごくごく普通の恋愛を――と思っているのは当人達だけで実際は、彼氏を慕う二十名を超える乙女達(一部筋肉妖怪含む)の猛攻を切り抜け、常に寝取られの危険性を孕んだ恋をしましたが、彼氏が女性陣の気持ちに鈍感なおかげで無事ゴールインしました。 ――何か前置きで既に普通とは、ほど遠いので改めて紹介しなくてもいいと思うのですが仕様ですので続けます。 しかし、そんな二人は互いに一般人には言えない秘密があったのです。 彼氏は異世界において人々から『天の御遣い』と呼ばれ、戦乱の世を仲間達と駆け抜けた希代の英雄で、彼女はなんと――『フタナ○』だったのです! 大丈夫なんでしょうか? この企画。 恋姫†無双 二次創作 妄想†夢想SS しりーず アトリエちゅうとはんぱ ぷれぜんつ 彼女は大喬編 フランチェスカ学園男子寮。 寮と言っても工事現場において、休憩室などの用途でよく使われるプレハブ小屋である。 そんな場所に眩しい朝日と小鳥達がチュンチュンと鳴く早朝、寮の二階に上がる塗装や防腐処理をされていない銅色の階段をカン、カン、カンと軽快に上る音がまだ多くの男子生徒が就寝中であろうこの場に響く。 早朝の男子寮に訪れていたのは――『北郷 大喬』フランチェスカ高等部に通う少女であった。 大喬は身の丈より、少し大きいフランチェスカ学園の制服姿で通学用のカバンと共にエコバックを手にしていた。 そして、目的の部屋の前、すなわち北郷一刀の部屋の前でポケットから合い鍵を取り出す。 これこそが、大喬が一刀を慕う多くの女性陣から彼女が勝利した証である。 ガチャリとサムターンを回し「おじゃましまーす」と小さな声で部屋に入る大喬。 簡素なキッチンが備え付けられたワンルームの部屋の中から聞こえてくるのはスヤスヤという小さな寝息だった。 大喬がベッドに視線を移すとそこには部屋の主ではなく、小さな少女、璃々が毛布にくるまって寝ていたのである。 璃々の幸せそうな寝顔に大喬はおもわず笑顔になる。 少女の安らかな眠りを妨げないよう静かにキッチンに向かう大喬。そして、制服の袖を捲り、可愛らしく「よーし」と気合いを入れ、愛しの彼の為に朝食を作るのであった。 一方その頃、一刀はフランチェスカ学園と寮を結ぶ並木道でジョギングをしている最中であった。 一刀は、心を交わした愛しの少女と外史から現代へと戻ってきたが、何の因果か他のみんなまで一緒に付いてきたのである。 最初はみんなの身分証明を作ったり、この世界のルールを教えたりと、何故かこの世界の理について詳しい貂蝉と共に必死で立ち回っていた。 そのかいがあって、現在は、皆それぞれにこの世界で謳歌している。 一刀は、生活が一段落した所で再び剣道に精を出し始めた。 しかし、最初は乱世の世界で培った生きるための剣術とスポーツとしての剣道のギャップに勘を取り戻すのに少し時間が掛かったが、マネージャーとして大喬が剣道部に入ったことにより、果然やる気になった一刀は実力を着実に伸ばしていったのである。 こうしてジョギングしているのもその一環であった。 一刀は最終地点である寮の前に辿り着き深呼吸をし、息を整えクールダウンとして軽くストレッチを終えてから自分の部屋への階段を上る。 そして、自分の部屋の前にひとりの少女が腰に手を当て仁王立ちで立っていることに気づいた。 少女は、目元がつり上がっている所以外は姉大喬にそっくりな彼女の妹である小喬その人だった。 「ここであったが――「おはよう小喬」――う……」 小喬にとって一刀という存在は大好きな姉を盗った憎き相手。しかし、一刀にとっては愛しい恋人の実妹である。 故に、小喬がつっかかっても、この通り一刀は敵意のかけらすら見せず、それどころか親愛の情で小喬の突然の来訪を迎えていた。 「小喬がここにいるってことは、大喬が来てくれているのか?」 一刀はそう言いながら部屋のドアノブを捻りながら、小喬を部屋の中に促す。 彼のマイペースな態度に小喬は毒を抜かれてしまいそうになるが、「コイツはお姉ちゃんを盗った憎き男」と心の中で気を引き締め、声を上げようと口を開く。 「アンタ――「一刀さんおかえりなさい」……」 二人を出迎えたのはもちろん大喬。 しかし、一刀と小喬は狐に頬を抓られたような表情をしていた。 何故なら―― 大喬は制服の上にエプロン姿、その手にはおたまという、珠玉のコンボ(学生服+エプロン+おたま=幼妻制服Ver)であったからだ。 「――これは孔明の罠よ!」 小喬は絶叫する。 「えっ、朱里ちゃん?」 妹の発言に首を傾げる大喬。 その頃、フランチェスカ学園女子寮のマンションのある部屋にて―― 「くちゅん!」 学校へ登校する準備をしていた朱里がくしゃみをする。 「朱里どしたの? 風邪?」 ルームメイトの小蓮が朱里を気遣う。 「ん〜心なしか、不本意な扱いをされた時のように心にモヤモヤがですね……」 真剣な表情で腕を組んで顎に手を添えて考える神算ポーズをとる朱里。 困ったときの朱里○もんは、現代に置いても一刀が係わった事においては勘が鋭いようであった―― 「違うよ〜この格好でお迎えすれば、一刀さんが喜ぶって羽未(うみ)ちゃんが――「早坂妹の仕業か!」」 一刀の友人である早坂章仁の妹である羽未の仕業と知って驚愕する一刀であった。(二人については恋姫†無双の前作に当たる春恋*乙女参照) 「と、とにかく、この場をなんとかしなきゃ!」 「そ、そうだな! 頭を冷やす為にシャワーを浴びてだな!」 「う、うん! そうしましょう!」 そして、二人してユニットバスルームに向かう一刀と小喬。 「って! 何考えてんのよこのスケベ!」 我を取り戻した小喬が一刀の腹を抉るように裡門頂肘。 「いいクンフーだ!!」 震脚と腰の入った技に感嘆の科白を残しながら沈む一刀。 「いいなぁ、小喬ちゃん。一刀さんと仲良くできて……」 二人のコントを羨ましそうに見ている大喬。 朝一からカオス状態の北郷家(夫婦+姑+娘〔寝ている璃々〕)であった―― 「しかし、アレね異様な光景としか言えないわ」 「何が? 小喬ちゃん」 「なーに? しょうきょーおねえちゃん?」 「何だ? 義妹(いもうと)よ」 小喬の言葉にそれぞれ反応する三人。 「うっさい! 妹ゆーな!」 一刀の言葉に小喬は過敏に反論するも、心なしか頬が紅い。おそらく、恥ずかしさ八割、嬉しさ二割と言った所であろうか。 現在、四人は連れ立って学園と続く遊歩道を歩いていた。 一刀と大喬の間に璃々が、それぞれに手をつないでご満悦な様子で、大喬も幸せそうに微笑んでいた。 そんな三人の横に小喬は付いてきており、第三者の視点で口を開いたのである。 「親子って言うよりも……うだつのあがらない情けない兄を反面教師として健気に世話をする妹ふたり?」 「ほう……中々、おもしろい意見を言うのはこの口か愚義妹よ」 小喬の発言にちょっぴりトサカに来た一刀は、彼女のほっぺを両手でびよーんと、ひっぱる。 「いわぁい! いわぁい! らふぃふうんほひょ!」 (訳:痛い! 痛い! 何すんのよ!) 一刀の膝に蹴りをいれながら、抵抗する小喬。 そんな、ケンカばかりしている二人を止めたのは―― 「かずとおにいちゃんも、しょうきょーおねえちゃんもけんかしちゃだめー!」 ご立腹な璃々様でした。 「だって、コイツが悪いのよ!」 「それは聞き捨てならないぞ! だいたい小――「ふたりとも、せいざです!」」 尚も、言い争う二人を可愛らしい怒声で一喝する璃々。 そして、すごすごとバツ悪そうに一刀と小喬は、璃々の前に正座する。 そんなおかしい光景を大喬は子供達を優しく見守る母のように微笑んでいた。 一刀さんと一緒になれて本当に良かった――雪蓮様、私、とっても幸せです―― 璃々に怒られて、縮こまっている一刀と小喬を見つめながら大喬は幸せを感じていたのであった。 フランチェスカ学園高等部、?−? Lyon(リオン)組。 一刀と一学年下になる大喬は、ここのクラスで勉学に励んでいる。 「――ダメ! ダメ! ダメだよ! 大喬ちゃん! そんなんじゃあ、一刀さん小喬ちゃんに盗られちゃうよ?」 大喬に向かってそう絶叫する少女は、クラスメイトの早坂羽未。 小柄な背丈、桃色の髪をサイドに二つに分けたショートツインテールが印象的な可愛らしい少女だ。 愛らしい顔つきの眉間を厳しいものに変化させ、大喬の席の机をバンバンと叩く羽未。 「そうかなぁ」 対して、大喬はおっとりとした様子である。 「うー、まあ、妹の小喬ちゃんはともかくとしても、一刀さんは愛紗先輩や鈴々ちゃんに璃々ちゃんのおかあさんの紫苑先生とか……えとせとら、えとせとら――といった不特定多数の人達からも狙われて居るんだから、ここでしっかりと手綱を引き締めておかなきゃだめだよ?」 「……うん、けど、どうしたらいいのかなぁ。私、スタイルとかそんなによくないし……」 羽未の気遣いに感謝しながらも、一刀に失恋してもへこたれるどころか、ますます積極的にアプローチを仕掛けている愛紗を始めとした女性陣への対抗策が思いつかない大喬は「うーん」と唸っていた。 「――大丈夫! 私に考えがあるの……」 そう言って、ニヤリとちょっと悪巧み風に微笑む羽未の姿はどことなく、宮中内での謀略が得意な緑髪のツンツン眼鏡っ子に似ていたそうな。 そして、昼休み。 一刀は大喬に呼ばれ、学園の中庭にて一緒にお昼をとっていた。 別段、それは珍しい事では無いのだが、一刀は困惑していた。 どれくらいかって表現すれば、左慈と鏡の件で争い、外史の世界に飛ばされて混乱していた時ぐらいに。 まあ、それはそれとして、一刀はどうしたらいいものかと考えていた。何故ならば―― 「はい、一刀さん。あーん」 胡坐をかいて座っている一刀の片足にちょこんと座って、瞳を嬉しさで少し細めながら、恥ずかしさで頬を少し朱に染めながらも箸に手を添え「あーん」を強要する大喬。密着している肌と、彼女の甘い吐息が届くほぼ零距離の間隔が非常に悩ましい。 一刀は急に積極的になった自分の彼女に萌え殺されようとしていた――が、それ以上に背後から感じる人々の視線や気配に冷や汗をダラダラと掻いていた。 愛紗は教室の窓から二人の様子を覗きながら、昼食をとっていたが、箸がバキッと折れている。 そんな彼女の横でヤレヤレと首を横に振りながら、足を組んで椅子に座って、水筒に入った『酒』を嗜む星。 朱里はシュンとした様子で、何だか切なそうな表情で一刀達を見ていた。 そんな朱里に対し、小蓮は「一刀のうわき者ー」と叫んでいたり。 中等部の校舎から、うらやましそうに二人を見ている鈴々。 教員のいる職員室からあらあらと言った感じで微笑んでいる紫苑。但し、眼は笑っていません。 ぷりぷりと不機嫌そうに怒っている翠。 彼女のいる教室の床には、従姉の八つ当たりを受けフルボッコされ、さめざめと泣いている馬岱の姿が。 炎も凍り付かせるような冷たい視線を一刀に向けているのは蓮華。 主の命令があれば即、一刀を亡き者にする準備万端の思春は懐刀の刃を入念にチェックしていた。銃刀法違反? 多くの女性をヤキモキさせる甲斐性なしの朴念仁は、死罪だと思うのですが? 穏は「やりますね〜」とのほほんと見ているが、頭の中では一刀に対するアプローチ方法を練っている。 華琳は挑戦的な視線を二人に送っている。「そうでなくてはおもしろくないわ」と。元、中原の覇王は今の世にあっては一刀をいかにして自分のモノにするかを楽しんでいるようである。 指をくわえながら「いいなぁー」とか言っている猪々子に「文ちゃーん、駄目だよ覗き見なんかしちゃ」と言っている斗詩の視線はチラチラと一刀に向けられていたり。 生徒会の会長席で劉協が目を瞑りながら憮然としていたり。 校舎の屋上からピザまんを口にくわえたまま、じーっと一刀達に視線を送っているのは恋。 他にも色々意味ありげな視線を一刀達に送っている元、メイド達やお姉ちゃんだったり、がいるのだが、きりがないので割愛。 唯一の救いは男子生徒が極端に少ない為、男達の夜襲がないことだけが救いなのかもしれない。 一刀は大喬が自分為に作ってくれたお弁当の味もわからず、ただ、ひたすら咀嚼を続けるのであったが―― 「あっ、一刀さんほっぺにご飯粒がついてますよ?」 ――Chu! 大喬がそれをついばむようなキスで一刀の頬から回収する。 本人は「えへへ」と可愛らしく微笑んでいるが、一刀は背後でより大きくなった感情の渦巻く気に失神しかけている。 そして、そんな二人の様子を羽未が満足そうに見つめていた―― 黎明館。校舎に併設された喫茶店である。 何と言っても、メイドさんが給仕してくれるのが、数少ない男子生徒に大好評である。 「いや〜ほんま、おもろいなぁ自分」 「……」 放課後、剣道部の練習が始まる前の時間を利用して、一刀は悪友の及川と共に黎明館に訪れていた。 おもしろそうにケラケラ笑う及川を憮然とした態度で接する一刀。これ以上、つっこんでの藪蛇は御免被りたいのであろう。 「――詠、俺の注文したコーヒーはまだ?」 そこに黎明館でアルバイトをしている詠が一刀の横を通りかかったので、一刀はメイド服姿の彼女を呼び止めて声を掛ける。 しかし、詠はツーンといった感じで、一刀を無視する。 「あかんなぁ、かずぴーは。傷心の女の子の傷を抉るような事をしたら――こういうときは『詠。すまなかった。お詫びに今度の土曜日に――ヤラナイか?』や」 無意味に歯を白く光らせて、指で男女の交わりを表現したジェスチャーをする及川。 「死ね!!」 「らぶっ!」 容赦なく飛び前蹴りで及川を沈める、キックの鬼と化した詠。 こちらの世界に来てムエタイなどの技もマスターしているようだ。 兎にも角にも眼鏡キャラ対決は詠の一方的な勝利で幕を閉じた。 「あ、あの、ご注文のコーヒーをお持ちしました」 そこへ、やってきたのは小動物のようにおどおどした、メイド服姿が愛らしい月だった。 一刀の席に月はコーヒーを置く。 「ありがとう、月」 様々な英傑を虜にした一刀スマイル発動。 「い、いえ、お仕事ですから」 恥ずかしそうにお盆で顔下半分を隠す月。 「ほら、月」 そんな彼女を詠が肘でつつく。 「え、詠ちゃん」 「――ここで、他の連中や大喬にアドバンテージをとっておかないとダメなんだから」 「う、うん」 何やら二人で会話を交わしているので一刀は聞いてはマナーに反すると考え、コーヒーの香りを楽しむことにしていた。 「あ、あの兄様?」 「ん?」 可愛い妹分に呼ばれ一刀は顔を上げる。 「お、お昼は、その大変でしたね」 「あ、ああ、いや、まあ、何だ、その、うん」 昼間の大喬との情緒を思いだし頬を赤くする一刀。 そんな彼の態度に月はちょっとムッとなり、おどおどした態度は影を潜め、何かを決心したような表情になる。 「――気を失ったと小耳に挟んだので……お身体は大丈夫ですか?」 と、言って、一刀のおでこと自分のおでこをくっつけて熱を測るような仕草をする月。 「ゆ、ゆえ?」 パシャ。 「――」 一刀の問い掛けに、月は顔を真っ赤にさせ彼から離れる。 「ご、ごめんなさい!」 「い、いや謝る事はないさ。ちょっと、吃驚しただけだから」 謝る月を一刀は宥める。 その横で、詠は何やら携帯電話を操作していた。そして、仕事中に携帯電話をいじるのはマナー違反だぞと一刀に言われた詠はお盆を縦にして彼の頭をかち割った。 いつから黎明館は暴力ツンツン喫茶になったんだろう? と、一刀は意識を失う寸前にそう自問していた。 剣道部での練習を終えた一刀は寮までの道を心なしかウキウキとした様子で歩いていた。 寮では、先に帰った大喬が手料理を作って待っていることに一刀は幸せな気持ちになっていたのである。 そして、あっという間に寮に着き、ドアを開ける。 「ただいまー」 「おかえりなさーい」 二人は新婚夫婦のように軽く抱擁し合い、部屋の中へ。 一刀は部活で掻いた汗を流す為、シャワールームへと赴いた。 大喬は夕飯の準備を整えていたが、今日は姑(小喬)や娘達(鈴々、璃々、少ない確率ではあるが音々音と張々)がいないので、程なくして終わってしまう。 手持ちぶさたになった大喬は自分の通学鞄から携帯電話を取り出した。 「あっ、メールがきてるみたい……詠さんから?」 詠からのメールに首を傾げる大喬であったが、何か大事な用件が書かれているのかも知れないと思いメールを開く。 ピッという確認ボタンの音がして、間もまなく――大喬の背中に雷が落ちた。 「ふーさっぱりした」 一刀がバスタオルで髪を拭きながら戻ってきた。 「あれ、大喬? 俯いたりなんかして――何かあったのか?」 恋人が俯いてじっとしているので、一刀は心配になり声を掛ける。 大喬は何も言わずスッと自分の携帯のモニター画面を一刀に見せた。 そこにあった、メールの画像は―― 一刀とメイド服姿の月が顔を合わせて、まるで、キスしているかのような写真であった。 一刀は後ろ姿でその表情は、見えないが月は目を瞑りながら頬を染めている。 普通に見たら間違いなく、汝熱的なベーゼを交わしている写真と勘違いされてもおかしくない。 「詠ー!」 犯人が解った一刀は激昂する。――が、手首をガシッと大喬に押さえられてしまった。 「――大喬さん?」 ただならぬ、大喬の様子に一刀は思わず丁寧語になる。 そして、顔を上げた大喬の表情は清々しいほどまで爽やかな笑顔であった。 「――そんなにメイドさんがいいんですか? 一刀さん」 「ちっ、ちがって……何するんですか大喬さん」 大喬は弁明する一刀を無視して、パイプベッドの足に一刀を後ろ手にしてグルグルとロープで縛る。 足を放り出したような形で一刀は身動きが取れなくなる。 そして、彼の目の前で大喬は着ていた制服をシュルシュルと艶めかしい音を立てながら脱ぎ始めた。 自称、紳士の一刀は首を懸命に背けて目を瞑り、その情景をカットする。 「ふふふ、ねんねじゃないんですから――見てくれていてもいいんですよ」 見た目とは裏腹に妖艶な声で大喬は一刀に声を掛ける。だが、一刀は首をブンブンと横に振り、そんな誘惑をシャットダウンすることに必死だ。 「――もう、目を開けても大丈夫ですよ」 ややあって、大喬からそう声を掛けられて、一刀はゆっくりと目を開いた。 そこにいたのはメイド服姿に着替えた大喬であった。 ショートスカートから覗く、ガーターと太ももに視線の高さが合う為、否、愛しい人がそんな格好をすれば一刀ならずとも大半の男性は堕ちるだろう。 「ふふふ、一刀さんが誰のモノか、ちゃあんとまーきんぐしなきゃダメですよね?」 一刀の顎に人指し指を添えて大喬は微笑んだ。 彼女の下腹部、彼女が天より与えられた異形。 本来男性にあるソレが、興奮で勃起していた。 つまりは―― 一刀は己のある部分の貞操に危機を感じていたが、拘束されているので逃げれない。 「――ちなみに、一刀さんの上も下も両方ですから」 死刑宣告。 こうして恋人達の夜は過ぎていくのであった―― 翌日、お肌がツヤツヤでニコニコしている大喬を小喬が見て、一刀がに視線を向ける。 そして、互いにちょっと蒼白な表情で頷きあう。 どうやら小喬も、一刀と同じオシオキを受けた事があるようだ。 義理の兄妹は妙な親近感を互いに抱いてたのであった。 教室で椅子に座るとき、痛みを堪えるような表情をしている一刀をクラスメイトの女子生徒が多数確認し、『相手は貂蝉先生か後輩の馬岱、もしくは三角関係?』 という憶測が学園中に拡がるのはそう遠くない未来であった―― 彼女は大喬 編 了 |




