奈須きのこ『空の境界(上)(下)』
読了時の印象を一言で表すなら、「異常に読みにくい京極夏彦」だろうか。構成やストーリーテリングの癖(やたら薀蓄を混ぜ込む点等)は京極を意識しているものの、読者の存在を前提としていないため独りよがりな文章になっている感じなのだ。
とはいえ、それに慣れてしまえば、魔術薀蓄や奇抜な設定、迫力ある戦闘シーン等かなり楽しめた。「殺人」に関する考察も実に真摯で、考えさせられるものがある。あとは浅田次郎並みの完璧超人ぶりを発揮する登場人物に、もう少し人間らしい生臭さがあれば、購読作家の一人に加えたかもしれない。
しかしこの人の話は、どっちかというと漫画で読みたいかもなあ。現在製作中だという映画に期待。
京極夏彦『前巷説百物語』
なんというか、"あの"又市の若造時代というだけでもう面白いんですが。言うこともやることも青臭いし、態度はチンピラだし、でもその目指すものはやはり変わらぬ又市で、なんだかニヤニヤしてしまう。気持ち悪いな私。
各話については、一話完結でありながら全てが巧みに連動し、さらにはこれまでの『巷説』シリーズにも複雑に絡んでくる構成の妙が相変わらず見事。いくら江戸時代でもそんなちゃちな仕掛けにだまされるもんかなあ、という疑問もないではないが、そのへんは今更突っ込むだけ野暮だろう。
それにしてもラストエピソード、「旧鼠」の崩壊劇は見ていて胸が詰まる。死んだのに死んでいない男、彼への思慕と信仰ゆえに凶行に走る力なき民らの姿は、どうしてもあの世界宗教を信ずる一部の人々を巡る悲劇を連想せずにはいられない。
中島らも『こどもの一生』
宣伝文にも書かれている通り前半2/3はコメディなのだが、笑える中にも「キノコ」「拳銃」「チェーンソー」「斧」「架空の知人」などといった不気味なキーワードがしっかりちりばめられているのはさすが。逆に言えば、そのキーワードに気づいた時点で先が読めてしまうわけだが、それを前提にしているがゆえのB級とも言えるだろう。
で、今は『マルドゥック・ヴェロシティ』を読んでます。ボイルドカッコええええ。
ごく at 2007-05-13
>「空の境界」
元々は同人サークルでネットにアップしていた小説だから、独りよがりな部分はそのせいかも。
小説の感想は毎回楽しみにしてますんで、これからも頑張ってください。
元々は同人サークルでネットにアップしていた小説だから、独りよがりな部分はそのせいかも。
小説の感想は毎回楽しみにしてますんで、これからも頑張ってください。
aster at 2007-05-14
もと同人作家というのは聞いたことがありましたが、ネット小説でしたか。そう考えるとかなりハイレベルなネット小説と言えるかもしれませんね。
小説の感想、楽しみにしていただけて嬉しいです。これからも暇を見つけてちまちま頑張ります。
小説の感想、楽しみにしていただけて嬉しいです。これからも暇を見つけてちまちま頑張ります。








