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  <title>活動未定-文館-</title>
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  <description>活動未定-文館-: Recent Entries</description>
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  <title>活動未定-文館-</title>
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 <title>注意事項＋更新履歴</title>
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 <description>【注意事項】</description>
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 <pubDate>2012-02-21T01:04:34+0900</pubDate>
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<![CDATA[【注意事項】このブログ外への転載、展示および当作品をベースにした内容での制作は許可しておりませんのでご注意ください。また当ブログ外で見つけた場合はご連絡いただければ幸いです（お手数ですがサイト：窖などのメールよりお願いします（メールフォームになっています）<br>【更新履歴】2012/2/21願いと神と悪魔志願　10〜　UP＜終＞<br>これより前の履歴は次ページへ<br>※RADAはベース（昔書いた時のもの）が行方不明なのでしばらく更新止まります＜（。。；）＞<nextPage>2010/08/23願いと神と悪魔志願　8,9P目 UP(NEXTページではなく別記事になっています)2010/8/22願いと神と悪魔志願　７P目 UP,５P目　加筆2009/3/2願いと神と悪魔志願　６P目 UP2008/1/30願いと神と悪魔志願　５P目 UP2007/10/05願いと神と悪魔志願　4P目 UP2007/08/25願いと神と悪魔志願　3P目UP2007/08/04願いと神と悪魔志願　2P目UP2007/08/01願いと神と悪魔志願　UP2007/07/08RADA　5ページ目 UP2007/06/21RADA　4ページ目 UP2007/06/17RADA　3ページ目 UP後記(現在4ページ目)付け足し2007/06/14RADA　２ページ目 UP、履歴ページ作成2007/06/10RADA　１ページ UP2007/06/09水王 UP]]>
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 <title>願いと神と悪魔志願（Ｐ１〜Ｐ７）</title>
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 <description>1　2　3　4　5　6　7　8　9　10　11　あとがき</description>
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 <pubDate>2007-08-01T02:09:44+0900</pubDate>
 <category domain="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/category_3150-6756.html">小説/願いと神と悪魔志願</category>
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<![CDATA[<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033.html">1</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_2.html">2</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_3.html">3</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_4.html">4</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_5.html">5</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_6.html">6</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_7.html">7</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183.html">8</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_2.html">9</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_3.html">10</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_4.html">11</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_5.html">あとがき</a><br>「天帝になんかならねぇつってんだろ！」　その怒号は辺りの空気を震わせた。　石らしきものでできている建物は震えこそしなかったが、音を響かせる。「困ったな。占神(せんしん)の予見では、息子の中ではお前が適任と出たのに」　金色の長い髪を持ち、どっしりとした椅子に座っている青年は口元に手をあてながらフムと考え込む。　目の前には大声をあげた青年。一見銀髪にも見える淡い金の髪の青年は、まるで罪人のように後ろ手に縛られ、体にも縄を巻かれていた。「お前の母と同じく、かまってやれなかったことが、こうやって裏目に出てしまったか」「ちがうっ。そりゃぁ確かに今更何様だとも思うがっ」　自分の意志など知ろうともしていないだろうことに苛立ちを募らせ、隠しもせずに彼は続ける。「毎日毎日、座って他人の話に耳向けてんのは性に合わねぇ！　俺は悪魔になるんだよっ」「ほぉ……面白い。流石、堕天した妻が産んだだけのことはある。だが、天帝という立場上、スンナリ認めてやるわけにもいかぬな」　男は自由を奪われている青年にニっと笑みを向ける。「賭けをしようか」「賭け？」「悪魔といえば契約による取引……そうして報酬に魂をもらうことは天界でも公認している」　そう言いながら男は自分の右目に手をあてた。「げ」　あまりにも唐突な行動に青年も思わず声を漏らす。「そこで、これより我が目を人界に落とす。おまえはこの目を宿した者の魂を人界が時にして１年内に持ち帰って来い。それができれば、お前が悪魔となるのを認めてやろう」「宿主とグルなんてこたぁねーだろうな」「逆だよ。宿した者は宿したことさえ知らないだろう。私も選別するわけではない。後はお前の運次第だ」「運、ね……」「ただ、期限内に持ち帰れなかった時は判っているな？」　男の問いに青年は不敵な笑みを浮かべる。「天帝になりゃいいんだな……やってやろうじゃねーかっ！」　青年の言葉は、再び辺りの空気を震わせた。<br><br>　彼女は幸せな頃の夢を見ていた。　暖かい夢のなか、暖かい光があった。（違う……落ちてくる？　どこかに行く？）『ごめんね、りら』　どんな調子だったか思い出せない。　ただ、文字だけしか思い出せない。　でも、その言葉は彼女の中にこびりついて離れない。　光はすぐに消えた。　それは、願ってもどうしようも出来ない願いのように見えた。（わかってる）　大丈夫、わかってる。　夢だということを。　過去、自分が思っていたことも、判っていたことも。　二人が二人でいることに苦痛を感じていたことを知っていた。　それはとてもイヤな空気。　何が二人をそうさせていたのかまでは知らない。　でも、彼女から見た二人は努力すらしていなかった。<br>　ソウヤッテ　ズット　ニゲテレバイイ<br>　唐突に目がさめた。　彼女は自分が泣いているのを知った。（何……泣いてるんだか）　彼女は夢で泣いた自分を嘲笑する。（私は……逃げない）　それは、その夢を見た後に必ずする決意。（私は、幸せになるんだから……）　カーテンごしの光で明るくなった部屋の中、彼女はパジャマの袖で涙を拭いた。<br>　その夢は、両親が別れた時の記憶。<br><br><nextPage><a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033.html">1</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_2.html">2</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_3.html">3</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_4.html">4</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_5.html">5</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_6.html">6</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_7.html">7</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183.html">8</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_2.html">9</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_3.html">10</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_4.html">11</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_5.html">あとがき</a><br>「願いを言え」　いつもの帰り道。　駅から徒歩で、駅からそう離れてはいないが人影もまばらになりだす通り。　りらの前に立ちはだかってそう言い放つ青年がいた。（何、この人……）　自分より頭ふたつみっつぐらい高いだろうか、長身で細身。淡い金の髪と青い目。デザインスーツ姿で一見モデルのようでもあるが広告などで見た記憶はない。　何よりそんな知り合いはいない。　りらは自分の背後に誰かいるのかと、後ろを確認する。「おまだ、おまえ。荒井りら」「え」（なんで）　名前を知っていることに怪訝な目を向ける。「ちょっとした賭けをしててな。お前の願いを叶えないと俺はなりたいものになれな」「しゅ、宗教勧誘なら興味ないから！　じゃ！」　話しを遮り、言うが早いかりらは駆け出していた。「ちょっ……待て！　こらーっ！」　りらの素早い行動に出遅れた青年はその背に声をかけるのが精一杯だった。<br>「バカか。あいつは」　建物の影でその様子を見ていた男は、壁に寄りかかりそう呟く。「でも、どーしテ天帝サマまで人界に来るんですカ？」　青年と男が対峙していた時には見かけなかった、金髪の巻き毛の少女はカタコトなクセをもった言葉で彼に問う。「それはねエニィ、バカと天才はなんとやら。万が一アイツが魂を手にいれた時、いや、いれそうになった時のためだよ」「つまり、ロード様の邪魔をするつもりデ、トいうコトですネ？」「……エニィ、お前のその遠慮のない物言い好きだよ」「ハイ。私も天帝サマ大好きでス」　嫌味のつもりが、いかにも通じてませんといわんばかりに笑顔を湛えてエニィと呼ばれた少女は言う。「本当に……そのまっすぐで物怖じしないところなどは似ているな……」「ハイ？」「ロードの母親だ。好きな男がいたのに、無理やり妻にして思いっきり嫌われていたがな」　男は自分を静かに嘲笑する。「流石でス。似たもの親子ですネ」「どういうイミかな」「天帝サマもおばかでス」　エニィはそう言って、再びにっこり微笑んだ。<br>　どさ。　ソファーに荒々しく学生カバンが放り出された。「つっかれたー」　荒い息を整えながら、りらもカバンの横にどっかと腰をおろす。　さすがに駅から家までの距離をひたすら走れはしなかったが、時折歩くその間もついてきているのではないかと、ゆっくりはできなかった。（ヘンなヤツにあったから、いつもの疲れ以上よね。顔はよかったけど……）　ふー。　と、ダイブ楽になった息を吐いて天井を見上げる。「人が説明しようとした矢先に逃げやがって！　手間とらすんじゃねぇよ！」　さっき見たばかりの顔が逆さになって視界に入ってきた。「…………」　何をどう言っていいのか、驚きのあまりに真っ白になったりらは、言葉にならない言葉を発し口をぱくぱくさせる。「まぁ、他に人がいないみたいだからゆっくり言えそうだがな。俺の名はロード。あんたと契約し願いを叶え、魂をもらうのが目的だ。そうすれば俺は悪魔になれる」「い……やぁぁぁ！」　ようやく発することが出来た声と、手が動いたのが同時だった。　青年の顎を手のひらで弾き、りらは座っていたソファーを離れ、反対側のソファーの後ろに回りこむ。「ドロボー！　ゴートー！　チカン！　ヘンタイ！！」　思いつく単語を並べ叫ぶ。「あのなぁ……」「うちにはお金なんてないわよ！　父さんは３年前の離婚で出てったし！　お母さんは男のとこ入りびたりで必要最低限の仕送り生活費でのアパート生活だし、暮らしぶりみてればわかるでしょ！」「……そいつはお気の毒に」　りらの並べた言葉に、青年は思わずそう言うしかなかった。「お気遣いいたみいります」　りらもそういった反応になれているのか頭をさげて返す。「っじゃねぇ！　大体、泥棒でも強盗でも痴漢でも変態でもねぇっ！」「じゃぁ、何なのよ……」　危険ではないと判断したらしく、りらは聞き返す。「言ってるだろうが『願い』を言え」「なんで……？」　とはいえ警戒を解くまでには至らず、ソファーの後ろからきょとんとしてりらは言う。「……きちっと説明するから、よぉぉぉっく聞けよ」　対する青年はそろそろガマンの限界なのか、握りこぶしをかすかにふるわせていた。　<nextPage><a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033.html">1</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_2.html">2</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_3.html">3</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_4.html">4</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_5.html">5</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_6.html">6</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_7.html">7</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183.html">8</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_2.html">9</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_3.html">10</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_4.html">11</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_5.html">あとがき</a><br>「つまり神様なの？　あんた」　りらは未だにソファの後ろで警戒態勢をとりながらも青年に問う。「……まぁ、そうなるな。悔しいが天帝として神格も最高位の親父には敵わないから、こんな賭けにのったが……お前の願いを叶えてとっとと目を宿した魂を持って帰ればそれで済むしな」「天帝の目ねぇ……」　りらは夢の中で一瞬だけ見た光を思い出す。（あれ、なのかな）「でも、それってあんた達の賭けに巻き込まれたわけで……それで魂とられるってのもなぁ……」「いいだろ。願いは叶うんだ」　青年はさらりと言う。「断るのは？」「却下」　試しに言ってみた言葉に対して青年はきっぱりと言い放つ。「他の人にゆずる」「却下」「願いを叶えなくていいって願いとか」「却下」　りらとの不毛な言葉のやりとりに、青年は溜息をつく。「あのなぁ、魂かかってんだぜ？　テキトーな願いじゃ契約成立しねぇの。まぁ、低俗低級な悪魔ならむりやりこじつけて契約書にサインさせて少しでも力つけようとするかもしんねーけど。力がついたり、あったりしてそれなりになると言葉での強制力のが優先される……て、聞いてるか？」「聞いててもわかんないけど、つまりいい加減じゃダメ、と？」　うーん、と人差し指を顎にあてながら、りらはなんとか自分が判った範囲で答える。「そういうことだ。あるだろう？　魂をかけてでも叶えたい願い」　りらは再び、わずかな間だが沈黙する。「あるけど」　重そうに口を開き呟く。「具体的に言えないものを叶えられるかどーか……」「は？　それは俺の力を疑ってるってことか？」　険しい顔になり前のめり気味にソファに近づいてこようとした青年を見て、りらは慌てて否定する。「そうじゃなくて！　幸せになりたいってのがあるけど、どうしたら幸せになれるかって、あんたに判る？　本人わからないのに」　青年が再生中の動画停止を押したようにピタリと止まる。「だから、保留にしといてくんない？」　動きを止めた青年に安堵の息を吐きつつ、りらは続ける。「あんたの話しじゃ、あと１年あるんでしょ？　だったらそのうち願いは他に出てくるかもしれないし」「……面倒だな」「他にどうしろってのよっ。あんたが、あいまいな今の願いでもカンッペキに叶えられる自信あるならともかくっ」　りらはムっと唇をとがらせ言う。「はいはい、判った。一年内にってことにしてやろう……じゃ、これからよろしくな」　そう言って、りらが盾にしているソファと反対側のソファに青年は座り込んだ。「は？」　それは、りらの想定していない行動。（これから、て）「まさか、ここに１年居座るつもり！？」「それが嫌なら、それなりな願いをさっさと決めるんだな。ま、必要最小限てことで周辺の記憶操作とかするけど、力使ったウチに入れねぇから」「……」　りらは唖然と目の前の青年を見る。（ま……負けるかっ）　まるで自分の家かのように悠々としている青年に、ワケのわからない対抗心がそう呟く。「そりゃ、どぉもっ」　ひきつった笑いを浮かべ、りらは言う。「おまえ、反応面白いなー。もうこの状況に慣れてきだしてるだろ？」　ひざを台にして頬杖をついていた青年だったが、彼にはりらの反応も想定外だったのか驚いた表情で言う。「ほめ言葉としてとっとくわっ」　りらはひきつったままの顔で応える。　慣れてきたというより、どうこうしたくても出来ない状況があるというのをりらは知っているだけだった。　人間規格外、神だという青年に常識は通じないだろう。　現れ方からして、何の力ももたない自分が追い出すことなどためすまでもなく不可能だ。　消去法で考えていくと、結局出来ることなど何もないだけなのだ。　りらは、はーっと深い溜息をついた。<br>　りらの住まいである一室があるアパートの屋根の上に、ふたつの影があった。　けれど、それは人の目にとまることはない影。「天帝サマ、どうされまス？」　金髪の巻き毛を風に揺らしエニィは隣に立つ男に問う。「そうだな。天界じゃ大した時間じゃないとはいえ……留守にすると天使長とかウルサイしな。一旦戻るか」　つまらなそうに男は空を見上げる。「はいっ。助かりまス。実は天使長サマから、天帝サマがもし戻らないトおっしゃったら、泣きマネをしてデモ連れて帰って来いト言われてましたのデ」　元気よく返事をしたエニィはにっこり笑って言う。「ほう。天使長が」　心配性なのか口うるさい者の筆頭である存在を思い出し、そんなことをエニィに吹き込んだのかと苦笑する。「帰るぞ、エニィ」「はい」　エニィの明るい返事が終わるか終わらないかのうちに二人の姿は消えた。　空には帰るという言葉が合うような、濃い色が広がっていた。<nextPage><a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033.html">1</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_2.html">2</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_3.html">3</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_4.html">4</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_5.html">5</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_6.html">6</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_7.html">7</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183.html">8</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_2.html">9</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_3.html">10</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_4.html">11</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_5.html">あとがき</a><br>　ロードとりらが出会い数日が過ぎていた。　りらにとって奇妙な同居人となったロードだが、生活に支障をきたすようなこともなく時間も奇妙に過ぎていた。　だが今日はいつもと違っていた。学校に行く支度を終え、部屋を出たりらは一瞬、動きを止める。「……なんでウチのガッコの制服着てるわけ」　じっと見た後、間違いないと脳が理解し、やっと言葉となる。「毎日どこ行ってるのかなぁと思ったから。楽しいのかなぁって」「……」　どう応えたものかと、りらは黙する。「それと、願い把握するなら似たような環境にいた方が判りやすいかなと」「……いいけど。問題おこさないでよ」　ここ数日で、彼自身がフシギな存在なのは実感していた。　一緒に出かけようが、誰も彼を気にしはしない。見えていないわけではなく、あたかも昔からいるかのように誰一人疑問を抱かない。　従兄弟という設定にしてはあるようだが、それがどう他人に刷り込まれているかまで、りらは知らない。「ヒトを歩く厄介ごとみたいに言うなよ」「少なくとも、私にとっては厄介事よ」　通用するかわからないが、トゲを含ませりらは言う。「そりゃぁ悪ぅございました」　大したダメージはやはりなく、さらりとロードは言う。「ついて来ないでよ。仲良く登校なんてヤだからねっ」　素早く靴を履き、りらは玄関をくぐる。「へーい」　しょうがないといわんばかりにロードは返事をした。<br><br>　りらは顔をひきつらせていた。　ざわめく教室。ホームルームのその時間。　先生の隣に立つ、かの人物を見て。「はい、静かに。転入生のロード・ランダム君だ。ウチの荒井と遠縁で、日本語もペラペラだぞ。皆安心したか？」（まぁね、来るって以上、そうなるだろうって思いもあったけどね）　ランダムなどという以下にもテキトーな名前もまた、苦笑を誘う。（遠縁に神様なんか、いないっつーの）　涼しげな顔をして立つ、金髪碧眼の青年。　そこに神様がいるなどと、誰も思いもしないだろう。　教室は転入生への好奇心によるざわめきだけが満たしていた。<br><br>「珍しいよね」　休憩時間、りらの前に一人の女生徒が立つ。「ん？」「フツウ、転校生のとこって人だかりできるじゃん。日本語もペラペラなら敬遠する理由もないしさ」　そういう彼女もロードの前ではなくりらの前に来ている。（そういうトコ疑問に思ってないあたり、なんかした可能性が高そうだなぁ……）　チラとロードを見ると、どこから手に入れたのか教科書に目を通している。「恵留は？　そういう恵留こそ声かけてみればいいじゃん」「あぁ、私はりらアテにしてるから〜焦らなくてもいいかなって」　ウィンクして、りらにイタズラっぽい表情を見せる。「でも、私より、りらじゃない？　一緒に暮らしてるんでしょ？　チャンスじゃない」「何が」「彼氏。いらないとはいわせないわよー」「……欲しいとは思わない」「もぉ！　それで青春の何を謳歌するのよ！　恋せよ乙女でしょっ」「……そんなの、したいひとがすればいいじゃない。大体……」　言いかけて、りらは口をつぐむ。（あ、悪魔になりたがってる神様なんて言えないーっ！）　言ったところで、頭大丈夫？　と言われるのが目に見えている。「何よ？」「私の好みじゃない」　ごにょと歯切れ悪くりらは言う。　顔は美形だ。性格は、語れるほど知らない。否定するには知らなさすぎるが、くっつけようと盛り上がられても困る。　そう思った上での言葉。「へー、じゃぁあんたの好みってどんなよ？」　にやりと笑いながら恵留が顔を近づける。「ほらほらっ。おねーさんに言いなさい」「どうって、あんなじゃないくらいだけど」　返答に困り、ロードを引き合いにだすしかなくなる。「俺よりいい男なんてそうそういないだろ。程ほどにしとけよ」　いつのまに居たのか、りらの背後に立っていたロードが言う。「理想高すぎて幸せこねーんじゃねぇの？　お前」「余計なおせわっ！　でも、あんただけは選ばないわねっ」　りらがそう言い放った瞬間、ロードの表情が固まった。「……何？」　自分の言葉にそんなにショックを受けるほどのことがあったかと、りらはおずと聞く。「いや……昔、似たような言葉、言われたなぁと思って」「古傷？　へぇ？　ふられた？」　にやにやしながら恵留が伺う。「容赦なくえぐってくるとは、いい友人もってんなぁ」　ロードはひきつった笑いをりらに向ける。「まあね」　別に自分の傷をえぐられてるわけではないので、さらりと受け流す。　ただ意外だった事項に思考は向いている。（神様でも古傷なんてあるんだ）　知るつもりはないし知らなくていいと思っている。　けれど、人間くさいそれは嫌が応にも親近感となる。（……だから何だってワケでもないけど）　りらは否定する。　それを、否定する。<nextPage><a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033.html">1</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_2.html">2</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_3.html">3</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_4.html">4</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_5.html">5</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_6.html">6</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_7.html">7</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183.html">8</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_2.html">9</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_3.html">10</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_4.html">11</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_5.html">あとがき</a><br>　平原と空が広がるその場所に、まるで目印のように大樹がそびえていた。　その木陰で金髪の青年は腰をおろし幹に背を預けて本を読んでいる。「天帝サマ〜天帝サマ〜」　のんびりと間延びした声が彼の世界の静寂を壊した。「そんなに連呼しなくても聞こえるよ。どうした、エニィ」　走りよってきた彼女の後ろに、もうひとつ影があった。「お客様でス〜」「久しいな、天帝殿。ご休息のところ失礼する」　軽い会釈から顔あげた青年の、長めの前髪の下から灰色の瞳が覗く。「これは、これは。冥王ソヴァーリン殿とは珍しい」　ゆっくりと立ち上がり、天帝は微笑むが冥王は怪訝な顔をして言う。「白白しい。私がここに来ることぐらい予測していたのではないか？」「というと？」「貴殿、なぜあの娘に関わらせた？」「あの娘？」「貴殿の子息がまとわりついている娘だ！」　荒げられた冥王の声に、天帝の近くへと移動していたエニィは肩をすくめる。「あぁ、りらとか言ったか」「そう、あのりらは……私が妻にとまで望んだアリルの転生した姿。なのに、またつきまとわせるとはどういう了見か」　銀髪の奥の瞳が静かな怒りを宿す。「了見も何も、ワザとじゃないんでな」　やれやれといかにも面倒そうに頭を掻きながら天帝が言う。「愚息との賭けで、たまたま落とした我が目が、たまたまあのりらに入って、彼女の前世が判ったのだってその後だ。魂には幾重もの封がしてあったしね」　天帝がちらりと冥王を見る。「その封のおかげで、バカ息子も気づいてはいませんが……封には心当たりがあるようですね」　天帝の目は、冥王の表情を探り告げる。「アリルに頼まれたことだ……片鱗でも記憶があることが辛いのならばと承諾した。今生こそ幸せに、そう生きられるようにと願った上でのことなのに、彼が関わることで……前世と同じようになりかねないではないか！」　自分の声が大きくなっていたことに気づき、彼は一息つく。「それとも、彼がアリルの魂に気づいても何ら変わらないという自身でもおありか」「さぁ？　息子といっても悪魔になりたがっているようなヤツでして、私には見当つきかねます」　その言葉に冥王の目が険しくなる。「では言い方を変えよう。貴殿らの目的が何であれ、彼女に関わる者として私も人界へ降りることに意義はおありか？」　静かな言葉には殺気が込められ、天帝もそれを察知する。「どうぞ、ご自由に」　天帝は苦笑を隠しもせず、そう言った。<br>「いいんデスか？」　張り詰めた空気は冥王が去ると同時に消えた。そしてエニィが天帝に問う。「んー。まぁ殺されたくはないしな」　冗談めいた口調で天帝は言う。「それで賭けが無効になるようなコトはありまセん？」「それはないね。ロードの勝利条件は、あの娘の願いを叶えた上で魂と同化した私の目を持ってくること。こじつけや屁理屈は悪魔のもっとも得意とするところ、それもわからずのんびりしてるヤツには悪魔は不向きだな」「それッテ」「うん？」「天帝サマの方が、悪魔に向いてそうデスねー」　エニィは悪気もなく、ただ素直にそう言った。<br>　りらは廊下を闊歩していた。　そのすぐ後ろには友人の恵留。「ねぇ、りら。カオ、めちゃ怖いわ」　後ろでは見えていないが、教室を出る時にちらと見、背中から漂う怒気はその表情を変えていないだろうと予測しての言葉だった。「怖くもなるわよ」　低めのトーンでりらは呟くように言う。「どこまでついてくるつもり！？」　トイレ前で勢いよく振り返り怒鳴る。　それは恵留にではなく、さらに後ろにいた人物、ロードに対してだった。「流石にここは、ここまでかな」　トイレ前でいってらっしゃいなどと手を振る。「出てくるまで待ってるつもり？」「大丈夫、時間はかったりしないから。出てきたら、転入生らしく校内案内してもらいたいだけだから」　どこで仕入れた知識なのか、ただ単に楽しんでいるかのような様子にりらは呆れる。「普通ないわよ、そんなのっ。ドラマか漫画の知識っ？」　不意に、ロードが後ろを振り返った。　脈絡もないその動作に、一瞬、りらは呆気にとられる。「何？」「いや、今……」　向き直るが歯切れの悪いロードの背後から、見覚えのある人影がこちらに近づいてきていた。「あれ？　先輩だ」「先輩？」　ロードは再び顔向けるが、その眉間には皺が寄った。「いつもの友達と一緒じゃないんだね荒井さん」　涼やかな声だが、ロードは警戒するかのように動かない。「それと、久しぶりだねロード」（へ？）　と、りらはロードと先輩を見比べる。　二人が目を合わせた瞬間から緊迫感が辺りを包んだ。「おや」　そんな空気をよそに出てきた恵留が呟く。「修羅場か。もうちょっと篭ってこよう」「ちがう！　なんか知らないけど緊迫してるだけで！」　置いていかないでとばかりに、りらは恵留にしがみつく。「だから、三角だからじゃないの？」「今日のこれまでの会話でそんな色っぽい部分があったなら教えてください」　りらはすがりついたまま言う。「気にすんな。昔ちょっとしたことがあって、その時の知り合いだ」　聞こえてるっつーのとぼやきながら、ロードが言う。「ちょっと、ね」　先輩がフっと笑う。「アリルの魂でも見つけたか？　あんたが人界におでましとは」「カンはそこそこだな。探すまでもなく、知っているさ。魂の管理者だからね」「なっ」　先輩の言葉にロードが驚いたりしているが、りらには二人の会話が判らない。（ありるのタマシイ？　魂？　先輩が管理？）　頭の中には？マークが乱舞している。「りら」　背を向けたまま、ロードが呼ぶ。「なに？」「俺、こいつと話あっから。案内いいわ」「へ？　そりゃいいけど……」　どこまで本気だったかわからない案内を急にマジメな顔で辞退され、りらは戸惑いつつ承諾する。　困ったように微笑む先輩と、背中越しにロードに手を振られ、りらはその場を後にするしかなかった。<br> 先輩と呼ばれた彼は、りらが去っていったのを確認するや否や、彼は結界を張った。　日常生活の中にありながら、他の人々から遮断された空間。彼らはそこにいながら、他の者達の目にとまることはない。「なんだ？　いきなり喧嘩でもおっぱじめるつもりか？」　不適な笑みを浮かべ、ロードが言う。「少し気になることがあるのでね。保険だよ」　穏やかな声と口調で彼は言う。「しかし、冥王様まで出てくるとはね。アリルの居所でも掴んだか？」「……どうも君は私に対してよくない印象があるようだな。転生はアリルの願いであってこそで、君と無理矢理引き離すためにしたことではない。それは以前も言ったろう」「どうだか。好きな女、取られそうで焦ったんじゃねぇの？」淡々と言う様が気に入らないのか苛立った表情を見せながらロードは言う。「そうだな、そういう欲があればまた変わったのかもしれないが……私が願うのは彼女の魂がそのまま彼女らしくあること、そして幸せになってくれることだけだよ」　ふうと彼は息を吐く。「それに、居所も何も……運命と言うのだろうかね、これも。アリルは彼女だよ」　彼の言葉がすぐに理解できず、ロードはあからさまに怪訝な表情になる。「りら、だよ。アリルの転生体だ」「なん、だって……」さすがにロードも理解し、驚きを露にする。「天帝も今回の件は故意ではないらしい。確認済みだ」　ロードはギリと爪を噛む仕草をして、考え込む。「これは忠告だ。もし、魂を傷つけるようなことがあれば、その時は私が容赦しないと……」　言い終わらぬうちに、二人はハっと顔を見合わせた。　りらの気配が途切れたのを感じたからだ。<nextPage><a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033.html">1</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_2.html">2</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_3.html">3</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_4.html">4</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_5.html">5</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_6.html">6</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_7.html">7</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183.html">8</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_2.html">9</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_3.html">10</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_4.html">11</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_5.html">あとがき</a><br>「って、えらそーに！　何なのよ！」　渡り廊下ですれ違う他の生徒の視線にも構わず、りらは声を張り上げた。「迫力負けしたくせに」　ぽそりと恵留が呟く。「え〜るぅぅ」「しっかし、すっかり忘れてたなぁ。先輩か」　睨みつけるりらを気にするでもなく、恵留が言う。「何？」「ずばり！　りらに彼氏を計画、彼氏候補！」　意気揚揚とりらを指差し恵留が言う。「作るな、んな計画」　りらは呆れてすかさず突っ込みを入れる。「大体、先輩はお兄ちゃんて感じで彼氏ってかんじじゃ……」　言いかけてりらは口元を押さえる。（あれ？）「りら？」　急に大人しくなったりらを恵留が覗き込む。「……私、前も言ったっけ」（違う。恵留にじゃない……もっとずっと前……）　思い出そうとするりらの頭に痛みが走る。「りら？」　呼び声に顔を向けようとするが、その目に映るのはぼやけた影。　トン。　倒れかけたりらを、軽く受け止めた二つの影があった。「先輩……ロード、くん」　恵留はホと胸を撫でおろす。「二人ともいいタイミング……っていうか、なんか湧いて出たような」「そりゃ、荒井さんに集中してれば、ね。近づいてたのも気づいてなかったでしょう」　穏やかな笑みで言われ、それもそうだと恵留は苦笑する。<br><br>　暗い。　どこだろう。。　夢だろうか、多分倒れた気がする。　りらはそんなことを思いながら、意識だけがいやにはっきりとしているのを感じていた。　───オコサナイデ───（……だれ？）　───眠らせて───（私の中から聞こえるけど……私じゃない）　りらは声の主を探そうと、意識を集中させる。　───また出会ってしまったら、きっと裏切ってしまう───『私は構わないよ。それでもかい？』（せん……ぱい？）　額に輪がかかっているあたり冠のようなものなのだろう大きな角をつけ、演劇でも始めそうな衣装だった。　───お願い、眠らせて───『アリル！』（……ロード）　叫ぶ青年の姿は彼だった。<br><br>　がば、と、りらは跳ね起きた。（ベッド……）　あまり縁はないが、簡素なそれと、周りの景観から、そこが保健室だと認識するまでそうかからなかった。「あ、起きた」　制服の上着をかけていた恵留がりらに気づく。　その横には先輩もいた。「先輩……恵留……」「どうやら、大事なさそうだね。良かった」「もー！　びっくりしたんだからね！　ちゃんと御飯食べてる？」「そういや、おぶった感じ、もう少しあってもよさそうだったな」「おぶっ……」　先輩の言葉に、りらは顔を赤くした。「すみませんっ！　重かったんじゃ……」「あんた、話聞いてる？　もちっと肉つけろつってんのよ」「帰り、送っていこうか？　まだ、ぼんやりしてるんじゃない？」　頭を抱え込むりらに先輩は変わらず穏やかな声で言う。　シャ。と、ベッドを遮るためのカーテンが勢いよく開けられた。「早退の許可とってきたぞ。居候の俺がいるし大丈夫だろ」　ロードがりらに向かって言う。「おや、いつから聞いていたのかな」「覗き趣味に言われたくねぇな」　再び二人の間に張り詰めた空気が漂うのがりらと恵留にも判った。「……指名してあげたら？」「だったら恵留がいいなぁ……」　促す恵留の呟きに、りらはぽそりと応えた。<br><br>　帰り道。「まったく、先輩が笑って退いてくれたからいいものの、何で敵対心剥き出しかな」　りらは呆れて呟きながらロードと歩いていた。　ロードはふうと息を吐く。「俺もやってることだからヒトのこたぁ言えないけどな」「何が？」「記憶操作つったって大したことじゃない。俺を見た瞬間、俺に対する疑問をもたせないように暗示かけるだけで」　トンと自分の額を指差し、ロードが言う。「何？　急に……」「……お前、あいつと、いつ、どうやって知り合ったか覚えてるか？」「いつって……」　答えようとしたりらの口の動きが止まる。（あれ？）　思い出せないことに、気持ちが焦る。「ロードと同じことしてるって……え？　それじゃ……先輩、も？」「奴は、一界を治める神の一柱。彷徨う魂の管理者、冥王ソヴァーリン」「……何、それ」　また神様が増えたのか、という思いと、なんともご大層な感じの言葉の羅列にりらは呆然とする。「昔、彷徨っていた美しい魂を気に入った奴は器と名を与えた。彼女の名前はアリル」　聞き覚えのある響きに、りらの心臓がずくんと痛んだ。「そして、たまたま冥界を訪れたまだ役目すら持たない若い神も、アリルに惹かれ、自分のものにしたいと願った」「それが、私に……関係あるの？」「始めは警戒していたアリルも、やがて笑顔を見せる程になり、若い神は天界に来るよう言った。が、彼女は『あなたを選ぶことはできない』と言い去り、その後、冥王の手により転生した」　りらの問いに応えず続けたロードは、そこでようやっと言葉を遮り深く息をついた。「それが、おまえらしい」　ロードの言葉に、りらは固まった。<br><br>「おやおや」　目を閉じて玉座に座っていた青年は、そう呟いた。「どーかしましたカ？　天帝サマ」　金髪の巻き毛の少女が青年の顔を覗き込むような体勢になる。「ロードのことを見ていたんだが、アリルのことを隠すかと思いきや打ち明けていたのでね」　応える天帝の脇でエニィはなにやらメモをつけている。「エニィ？　何のメモだい」　天帝は苦笑して問う。「はい、天使長サマ、天帝サマのご命令デ留守にするから、お仕事ちゃんとしてるカさぼらないように見ておくように言われたのでレポートでス」　エニィはにこやかに言い放つ。「……今のも仕事のうちだからね。後継ぎのことだし」「はいっ」　エニィは元気のいい返事をして更にメモをつけている。「あ、ソウダ。天帝サマのご命令ってことは、天使長サマがどこにいるか、天帝サマ知ってるんですカ？」「ん？　ああ、そうだな……ロードを天帝にするための大切な場所に、とだけ言っておこうか」　天帝はそう言うと、クスリと含み笑いを浮かべた。<nextPage><a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033.html">1</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_2.html">2</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_3.html">3</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_4.html">4</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_5.html">5</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_6.html">6</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_7.html">7</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183.html">8</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_2.html">9</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_3.html">10</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_4.html">11</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_5.html">あとがき</a><br>「や、やだなぁ、もぉ。冗談言って脅かそうって魂胆でしょ」　りらはぎこちない笑いを浮かべながら、止まっていた足を動かした。（だって、夢の中の……ちらっと見だけど、あんな美人で……）　今の自分と全然違う、憧れのような姿を思い出し、りらは否定する。　道の角を曲がろうとしたところで、ぶつかりそうになった人影にギクとする。「すみませ……って、恵留、あれ？　恵留も早退」　するの？　と言い切らないうちに恵留の右腕がりらに向かって伸ばされた。「離れろ！」　ロードが叫ぶ。「え？」　振り返る間もなく、体が浮いた。（違う、何これ！？）　自分の体から、自分が離れていく。　それが見えた。「冥王も出てきては私の手には余るので、強引な手段ではありますが来ていただきますよ」　いつもの恵留より気持ち低い声に、りらは顔を向ける。「恵留……？」　背後に見えるのは白い翼。栗色の髪は金色になり、光に透けている。「人間として転生した魂がいきなり天界の光に飛び込むのは辛いでしょう。しばし眠りなさい」　手のひらが顔を撫でるように遮る。「待って……なんで……何が、どうな……」（だめだ、眠っちゃ……だって、全然……判らないことだらけ……なのに）　抗うりらの思考とは逆に、意識はゆっくりと沈んでいった。<br><br>「なるほど。それで結局、天使長の手にりらの魂はあるわけか」　りらの住むアパートの居間、ソファに座る光のない目をしたりらの顔を見ながら冥王はつぶやく。「そうだよ」　ロードは悔しげに呟く。「あの親父が賭けの期間内におとなしくしてるわけがない、そう思ってたのに……」「根は甘えん坊の子どもみたい……」　ぽそと呟いた冥王の言葉に、ロードがピクと反応する。「ケンカ売ってんのか？」「アリルが言っていたのを思い出してね。そういったことに限らず、甘えと甘さがお前にはあるからな」　アリルの名前を出されてか、ロードはむすっとしたまま黙り込む。「それより、天界に行くのだろう？　こちらは見ていてやるから、行って来い」「……お前こそ、そのマイペースな発言、相変わらずだな」　結局何を言いたかったのか、思いつくままなのか、そんな冥王の発言にロードは呆れた顔にならざるを得なかった。　　　　ああ、まただ。　この感じは、アリルの夢。　真っ暗な意識の中、りらはそう思った。「裏切るのですか？　冥王を」　恵留に翼の生えた、あの低い声だった。「神に遠く及ばぬ貴方ごときが、神を天秤にかけ、己に器を与えた神を裏切る。そんなに自分の欲が、幸せが大事か」「やめて！」　恵留の前にアリルは座り込み、耳を抑えていた。（……アリルだって判ってる……んだよね）　りらの思いとは反して、恵留の言葉は尚も続く。「ロード様はいずれ天帝となられるお方。貴方は邪魔になるのみ」（違う。それは天帝やあんたにとって、でしょう）　そう思うりらの声は届かない。「もっとも、ロード様が本当に必要とされるならば、どんなことがあったとしても貴女を迎えに来られるでしょうけれど」　アリルの表情が変わったのが見えた。「生まれ変わってしまえば、貴女は冥王の手を離れた魂。その貴女が冥王以外とどうなろうが、それは裏切りにはならないでしょう」（なっ……）　それは明らかな誘惑。甘い言葉。　「冥王に請うてみてはいかがです？　生まれ変わらせてくれと」（こういう……こと……だからって生まれ変わるアリルもアリルだけどっ）　これが前世の自分かと思う苛立ちに、りらはぎりと爪を噛む。もっとも、噛んだ感触などなく、明らかに夢か記憶の中なのが明らかになっただけだが。「やな感じっ」「おや？　それは私のことかな？」　耳に響いた声がした。　光が目に飛び込んだ。　最初に映ったのは白い天井。そして白い壁。　そして、青年が見えた。「え……あ……さっきの……恵留じゃ、ない？」　金色の髪の青年に戸惑いながら、りらは体を起こす。　寝かされていたらしく、シーツらしきものが体から落ちる。　髪がさらりと肩を撫でた。「え」　手にした髪はゆるくウェーブし、淡いクリーム色で柔らかい。その髪を手にした指は細く、腕は透き通るように白い。「……これ……」「魂を剥き出したままでは傷つきやすいからね。簡単な入れ物を作ってみたんだ。すぐに馴染むよ、なにせ、アリルをもとにしているからね」「私はアリルじゃない！　……ですっ」　やはりかという思いと、怒鳴りながらも初対面の相手だったことを思い出し、とってつけた敬語になる。「あぁ、失礼。他意はない、ただ馴染みやすいだろうと思ってね。目も戻したし、君をどうこうするつもりはないよ」（目……って、たしか……）　ロードが最初に言っていたことを思い出し、りらは体を強張らせる。「天帝の……」「はーい、ロードの父でーすっ」　驚くりらを面白がってか、明るい調子で天帝は言う。「……若い」「うん、まぁ、神様に見た目ってあってないようなもんだからね。君はそこらの記憶はさっぱりなのかな？」「……はい。はじめまして……ですよね？」　アリルの夢にしても、時々思い返すようにしか見ていない。　少なくともその中では会っていないはずと、りらはおずと挨拶する。「そうだね、はじめまして」　天帝はクスと笑い、返す。「……恵留は、どうしてます？　天使の人が化けてたんですよね？　本人は……」　言いたいことがまとまらず、それでも、りらは聞かずにいられなかった。「本人、ね。グラナディエル」「はい」　天帝の声に応え、背後にその姿すうっとが現れる。「私が恵留……本人だ」「……化けてたんじゃ……ないんだ」「このままではロード様に警戒するなという方が無理でしょうから。そして貴女の魂の記憶を刺激することも避けたかった。近くで貴女を管理するために、自己暗示で性格を、そして容姿をかえていただけのこと」感情などなさそうな声だけが響く。（……そうだ……私は……）　りらは自分を思い出す。　両親の別れは、他人を信じることすら諦めさせた。　友人とて仲良くなったところで絶対ではない。　別れは必ずある。　何度も、そんな思いをしなければならないなら、一人で充分だと。　友達など、いなかったのだと。「そ、か。私って、結局……たいして変わってない……ばかなんだなぁ」　自嘲し笑う。　そんなだから騙されて当然なのだと。「なんでアリルに転生進めたの？　ロードもバカだから迎えに来ると思ってたんじゃない？」　苦笑を隠しもせずりらは顔をあげてグラナディエルに問う。「天帝の妃は天界の母ともいうべき存在。己のことばかりな彼女には務まらぬと判断したからだ。転生した魂を捜すのは神とて容易なことではない…その間にロード様の気が変わられる可能性とてあるだろうと思っていた」「恵留は恵留だなぁ。計画するのとか好きだよね」　あははとりらは笑う。「ありがとう、気がすんだ。ごめんね」「おまえはアリルとは違う」　ぽそとつぶやいたグラナディエルの言葉に、りらは「え？」と顔を見直そうとした。「なんでもない」　グラナディエルはすでに背を向け、りらが問う間もなくその姿は消えた。「ああ見えて、結構きまぐれだからね。また呼ぶかい？」　何かいいたげにしていたりらを察して天帝は言う。「……いえ……たいしたことじゃ、ないから……」　りらは作り笑いを浮かべ視線を落とした。　　　「情でも移ったかい？」　天井も見えないほどの高い本棚に囲まれた部屋で、本を手にぱらぱらとめくるグラナディエルに天帝は声をかけた。　彼の気に入りの場所で、時間さえあれば彼はここにいる。「何のことでしょうか？」　グラナディエルは本から目を離し、天帝を見る。「エルが自分の意見を言うのは珍しいと思ったのでね。邪推だったかな？」「主(しゅ)にそう見えたのでしたら、そうなのかもしれません」「否定はしないのだね」「主のお言葉に逆らう理由がありません」「からかいがいがないねぇ。エルは」　諦めたのか天帝は肩を一度軽く上下させて、笑う。「そういった役目は他の者の役目でしょう。私は主の意向に沿うことが役目ですから」「忠実な配下がいて頼もしい限りだよ」　天帝はニィと笑った。　　　「デ、あっち行くと玉座デす。フツーはよほどのコトないかぎり、行きませン」　アリルの姿のまま、りらはエニィに神殿の中を案内されていた。（何やってんだ……私）　そう思いながらも、寝ていたあの部屋でじっとしているのも退屈だったのは確かで、神殿内を見たいならという天帝の言葉に甘えたわけだが。「アリル？」　背後からの声に、りらはギクとする。（この声）「りら、か!&amp;#63;」　りらが振り返るより先に、腕を掴まれ、声の主のほうに強引に向かされた。「ロード……よく、わかったね……」「あぁ？　そりゃ、まぁ、空気っつーか雰囲気違うからな。神族級なら、こんぐらい判るだろ」　はーっと息を吐きながら、ロードはりらの肩に頭を付ける。「ロード？」「親父だな？　こんな趣味悪いことすんのは」「あー、まぁ……魂のまんまだと傷つきやすいからって」「戻るぞ。とっとと、もとの体にもどせばいい話だろうが」「ダメでスっ」　りらの手を引いてその場から去ろうとしたロードをエニィが声で制す。「りらサン逃げそうになったラ、消していいっテ言われテまス」「……クソ親父……っ」　エニィの言葉に、ロードは憎々しげに言葉を吐き捨てた。　　 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 <title>願いと神と悪魔志願（Ｐ８〜あとがき）</title>
 <link>http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183.html</link>
 <description>1　2　3　4　5　6　7　8　9　10　11　あとがき</description>
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 <pubDate>2007-07-23T22:38:15+0900</pubDate>
 <category domain="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/category_3150-6756.html">小説/願いと神と悪魔志願</category>
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<![CDATA[<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033.html">1</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_2.html">2</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_3.html">3</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_4.html">4</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_5.html">5</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_6.html">6</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_7.html">7</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183.html">8</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_2.html">9</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_3.html">10</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_4.html">11</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_5.html">あとがき</a><br>「予防策が役にたったね」「デス」　玉座に座って微笑む天帝。その隣ではエニィが笑って相槌を打つ。エニィと対なすように天帝をはさんでグラナディエルも立っていた。「で？」　天帝の正面に立つロードは仏頂面で短く言う。その後ろには、りらが心もとなさそうにロードの服の裾を掴んで顔をのぞかせていた。「１年を待たずして目は私に戻った。私の勝ちで異論はないな？」「……あぁ」　不機嫌な表情のまま、ロードは頷く。「こいつに別れの挨拶するぐらいはもらえるんだろ？」　後ろのりらを指し、ロードは言う。「構わないよ。逃げようにも逃げられないぐらいは、おまえも判っているだろうしね」　ロードはそれには応えず天帝に背を向け、りらの手をひいてその場を後にした。　　　「悪かったな」　神殿から離れ、しばらく経った頃、ロードはおもむろに言う。「え？」「願いを叶えるってこと。いらない期待を持たせただけだった」　きょとんとしているりらに、ロードは説明する。「ああ、そういうこと。いいよ、別に……特に浮かんでもいなかったし」（……期待なんて、してなかっただけ……だけど）　何も、誰も信じないから、期待も生まれない。それだけのことと、りらは自嘲して微かに笑う。「結局、自分でなんとかするしかないでしょ」「嫌味か」　あまりにさらりと言うりらに、ロードは思わず言う。「違う違う。自分の気持ちの問題だからさ……ロードが現れるまで一人で平気だって、一人で捜せるって思ってたけど、違うって判ったから」　りらは苦笑を浮かべる。「何が？」　ロードが先を促す。「ロードに願いを言えって言われた時、全然知らないロードに対して”ずっと傍にいて”って言いそうになってたんだよね。あぁ、それって、一人じゃやだったってことなのかなって今は思ったりしてて」「あほか！」　ロードはいきなり大声で叫ぶ。「そんな簡単なことで幸せになれるんなら、とっとと叶えられただろうが！」　自分の頭を抱えながら、ロードはその場にしゃがむ。「え、簡単って……でも、それ、私の事……好きになってって意味も含んでて……」「俺は嫌いなヤツの傍に居たがるほど酔狂な性格はしてねぇぞ」　しゃがんだまま、りらを見上げて言う。「……私、アリルじゃないよ……？」「判ってるよ」　ロードはゆっくり立ち上がる。「ま、こんな結果になっちまったし、傍にいるのは無理だし願い叶える意味もねぇけど、たまには会いにいってやるよ。いいな？」　りらの額を拳で軽く小突く。「うんっ」　りらは笑顔で頷いた。<br><br>　天帝はまだ玉座にいた。　その前には、ロードとりらを写す映像が切り取られたかのように小さく浮かんでいる。「良いのですか？」　傍らのグラナディエルが聞く。「良くはないな。記憶に封をしたところで、アリルの記憶のように思い出すとも限らない……完全ではなくとも、目障りだ。ロードの事を知る者はいらない」「は」　天帝の言葉にグラナディエルは頷き、軽く頭を下げ姿を消した。「天帝サマ……」　不安そうに小さい声でエニィが声を出す。「うん？」「本当に……やるのでスか？　天帝サマ、今と違うお姿になられルの、私、チョットさびしいでス」　天帝は手を伸ばし、エニィの髪を撫でる。「すぐに慣れるよ。地界で生きていたロードを知るものは天界にはいないだろう、入れ替わったところで気付くものもいないだろう……私が天帝であり続けるために必要なんだ。判っておくれ」　だだをこねる子どもに言い聞かせるように言う。　エニィはそれ以上、何も言うことはできなかった。　　　　彼女には翼がなかった。　天使でありながら。　神の御使いとなることもできず、それでも、生きていた。ただ、生きていた。「言葉を教えられることもなく、着るものも与えられず捨てられていたようです」「やれやれ……目が届かないところでは、こういうことが平然と行われているんだから……表面だけの平和を保つのがやっとといったところか」　それは彼女が声を声と認識さいた最初だったのかもしれない。「エル、ただでさえ忙しいところ悪いが、面倒見れるかな？」「主の命とあらば、我が命に換えましても」「それは大げさすぎるだろう。お前も一緒にもう少しくだけた言葉勉強したらどうだ？」「……考えておきます」　笑う声がした。　自分を嘲る笑いではない笑い声。　そのときの気持ちを、彼女は言葉を覚えていくことで知った。　あたたかい。　そのときの事を思い出すたびに、彼女は彼への忠誠を密かに誓っていた。<nextPage><a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033.html">1</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_2.html">2</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_3.html">3</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_4.html">4</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_5.html">5</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_6.html">6</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_7.html">7</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183.html">8</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_2.html">9</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_3.html">10</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_4.html">11</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_5.html">あとがき</a><br>「冥王、遅ぇな。あいつなら、迎えに来るまで時間いらないと思ったんだが」　ロードは辺りを伺うように遠くを見る。「私の体預かってくれてるんでしょ？　離れていいか悩んでるとか？」「結界だって張れるやつが、それはない」　だろう、と言いかけ、りらの方を見たロードの顔が強張った。　りらの左胸が赤く染まっていた。　鋭利な刃が、貫いている。　声が漏れぬように口を抑えていたのは───「てめぇ！　腰巾着っ」　向かっていこうとしたロードに、りらの体を投げるように放し、ぶつける。「りら！」「……作りものだから、痛みは……ないみたい、苦しい、けど……」（血も出てて、痛みないけど苦しいって、変なの）　そんなことを思ったせいか、しまりのない笑いが浮かぶ。「あっちも判ってるだろ。魂の破損……消滅させんのが目的だろうが、これっ」　りらとは逆に、深刻な顔でロードが言う。　血は破損の度合いを示す目印なのだろう。白い衣服にじわじわと広がってゆく。「ご心配なく。貴方も共に消してさしあげますよ」「っだと……」「欲しかったのは貴方が天帝につくという言葉と、その身体。魂はいらない」　手にした剣の刃が光る。「はじめっから、そういうつもりだったな？　あんのクソ親父っ」　グラナディエルが剣を構え向かって来る。「っざけんなっ」　ロードの片腕の先が光り、剣を受け止める。「ロード、りらを！　魂を修復する」　二人の背後に冥王が現れ、声をかかける。「させるか！」　グラナディエルは剣を構えなおし、振り下ろす。「うっぜぇ！　冥王、受けとれよ！」　言うと同時にりらの体を後ろに引くようにして、手から放す。　力の抜けたりらの体は、勢い良く冥王の体にぶつかるようにして、その腕におさまる。「っ！　怪我人ってこと考えろっ」　乱暴な渡し方に冥王は思わずロードに怒鳴る。「片手が塞がってんだ、しょうがないだろ！　親父に気に入られてるだけあって、こいつ強ぇんだよっ」　小さな光は結界か、小さな盾となって刃を受け止めている。「ったく……こっちはいないと思っていいぞ。全力でいけ」「言われなくとも」　ふわと空気が歪むように、ロードの周りが歪んだ。　一瞬のその後、ロードがいた場所に、やわらかそうな長い髪をした青年がいた。「姿を変えたところで、私に勝てると？」　剣を押し当てながらグラナディエルが言う。「地界で神族級だと目立っていらないケンカ売られまくるしうざったかったもんでな、普段は自ら抑えてんだよ」「というか、その喧嘩全部勝って、誰も喧嘩売ってくれなくなってつまらないからじゃなかったかな？」　りらの傷口に手をかざし、二人のやりとりを聞いていた冥王がぽそりと呟く。「茶々いれんなっ！　ってか、それもアリルからかっ」（緊張感ないなぁ）　苦しさの中、聞こえる会話にりらは苦笑する。（でも、ほんと、ちょっと……これ、つらい、かも。死んだ方がマシっていうか、楽かも）『そうね、その方が楽かもしれない』（！？）　自分の思考に応えた声にギクリとする。『そうすれば、あなたが私に重ねて見られることも、私があなたの中で目覚めに怯えることもない』　苦しさに意識が遠くなっているのか、夢で見る時のようにアリルがそこにいた。（……怯え……？　アリル？　怖いってこと？　何が怖いの？）『私は冥王の気持ちを知りながら、ロードに惹かれた……ロードと結ばれたくて転生を選んだ……逃げるようにして』（それが辛い？）『結局、天使長の言葉に簡単にだまされて、ばかなことをしただけ……そしてロードをこんな目にあわせてる』（楽しそうだしいいんじゃない？　っていうか、私に謝ってよね。ロードなんて怪我してないじゃない、苦しいのは私っ）　アリルの表情が驚きを浮かべる。（大体、私のは気持ちどうのじゃなくて、体感で苦しいのっ。あんたの思考にほいほい釣られて死ぬつもりなんかないわよ、喩えってもん知らないのっ）　クスとアリルが笑う。『りらって、面白い』（昔の自分が言う？）『ロードが、判ってるって言ったのが判るわね。本当に違う……』（戻るわよ。で、私達、幸せになるのよ）『強いのね』（おかげさまで）　それは、繰り返したくないから。　ばかな過去も。　親のような別れも。（殆ど覚えてなくたって、あんたがいたから、私がいるんでしょ）　その思考にアリルは応えない。「──ら？」（呼んでるのは先輩の声……？　あ、冥王だっけか）「大丈夫か？」ゆっくりと目を開いた先に、冥王の顔が入ってきた。「まだ少し苦しいかもしれないが、呼吸も落ち着いたようだし、あと少しだから」「ありがとうございます」　抱きかかえられているのが判って、りらは照れ笑いを浮かべる。「こう見えて魂の管理者だからね。消滅させられる前で良かったよ」「……名前、なんでしたっけ」「え？」　りらの質問の意図がわからず冥王は困惑の色を浮かべる。「いや、思い出せた限りでもアリルって冥王とか冥王様としか呼んでない気がしたから……自分も先輩のこと先輩としか呼んでないから、どっちの名前でもいいんですけど、知っておきたいなぁって」「あぁ、人間の方は考えてなかったからなぁ。ソヴァーリンって言うんだけど」「……先輩のが言いやすい」　りらの言葉に、あははと冥王は笑う。「構わないよ。言いやすい方で」「すみません」　りらが喋れるほどに回復したのを目にしたグラナディエルは、チと小さく舌打ちした。「よそ見してる暇なんざ、ねえだろ！」　ロードの拳がその頬をとらえ、グラナディエルの体が傾ぐ。「……原始的な戦い方……ですね。もっと魔法戦みたいなもの想像してたけど」　ロードとグラナディエルの戦いは拳と剣で、時折小さな光の盾が見えるものの、基本は殴り合いに近かった。「力使うと制御が面倒みたいでね。まー、神様が暴れたら普通に地上にも影響出るよね……普通は。そういうのも面倒みたいだね」「ロードらしいというか……」　りらと冥王が見守る中、グラナディエルの体が大きく揺れ、地に伏した。「うっしゃぁぁぁ！　次はクソ親父だっ」　パンとン握りこぶしを掌に打ち付け、ロードは遠くにある神殿を見据えた。　と思うと、その姿はフと視界から消えた。「いないと思えとは言ったけど、最後の最後にこっち忘れたね。あれは」　冥王は苦笑する。「ハイテンションっていうか……キレて、る？」　治癒が終わり冥王に支えられるように座っていたりらは、ゆっくりと立ち上がる。　まだふらつくのを察した冥王は添うようにして支える。「自分を殺そうとした首謀者が父親ではね。神族では珍しいことではないけれど、気持ちいいものでもないだろうから」「天帝、優しそうな人に見えたのにな……」「彼には彼の考えがあるのだろうけれど、やはり本人の口から聞かないとなんとも言えないね」「って、あれ？　先輩、ロードの魂いらないとか……話してた時からいましたっけ？」　苦しさのあまり記憶がおかしくなったのか？　と、りらは首を傾げる。「いや、別口で聞いた。それで少し遅れたんだ、ごめんね」　冥王はにっこりと微笑む。「じゃ、こっちも行くよ」「え、あ、は」　い、と続く頃には二人の姿も消えていた。<nextPage><a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033.html">1</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_2.html">2</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_3.html">3</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_4.html">4</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_5.html">5</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_6.html">6</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_7.html">7</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183.html">8</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_2.html">9</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_3.html">10</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_4.html">11</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_5.html">あとがき</a><br>「まったく使えないな……さっさとやってしまわないから、こうなるんだ」　目の前に浮かんだ映像を撫でるようにして消し、天帝は溜息をつく。「ところでエニィ」「……ハイ」　呟くような呼びかけにエニィは小さく返事をする。「私を裏切ったのは、お前だね？」　冷徹な感情のない瞳で天帝は一瞥する。「違いまス！　裏切るなんテ……！」「では、何故冥王が知っている？」　天帝は玉座から素早く立ち上がり、傍らにいたエニィの首を正面から掴み持ち上げた。　小柄で華奢なエニィの体は空に浮く。「下級のお前に目をかけてやった恩を忘れたか。まったく、いつの間に……小賢しい真似を……」　首を絞められ、苦しさに顔を歪める事しかエニィには出来ない。「クソ親父！　覚悟できてるんだろうな！」　それはロードの怒号。　りらと冥王はその後ろに佇んでいた。「……おや、早かったな」　天帝の言葉を待たずして、ロードは素早く近寄りその腕を振り上げていた。　ゴッ。　鈍い音が響き、天帝の体が揺らぐ。　エニィの体は天帝の手から放たれ、床に放り出された。「本当に殴ってるし」　冥王は苦笑しながら思わず呟く。「とりあえず……言い訳あるなら聞くだけ聞いてやる。くだらねぇ理由だったら容赦しねぇからな」　玉座に座りなおす天帝の前に仁王立ちし、ロードは天帝を睨みつける。「くだらない……さ」　天帝は目を合わせるでもなく、視線を下に落とし言う。「言わずもがなだろうが、我々に寿命はない。それ故に、天帝であるということは長くあればある程に敵も増えてゆく。他の者が天帝の座に何を望むかなど知らない。私は私が天帝である限り今の天界を保ちたい」　天帝はゆっくりと息を吐く。「大きな戦のない安穏とした平和な世界を」　そう言った天帝の目はようやくロードに向けられた。「それを壊したがる輩、長く就いているというだけで懸念する輩の目を欺くためにも、新しい器が欲しいのだ。そのための犠牲は厭わぬ」「アホか！　命狙われる確率減らすために？　そうやって未来永劫君臨してくつもりか！」「そのつもりだ」　天帝はさらりと言い放つ。　ロードは口を開いたまま、一瞬固まる。「……アホ、か……今、マジで開いた口塞がらなかっただろ……変化するとか……いくらでも手あんだろうが」「息子が反逆して王座についた、ならば一番簡単だろう？」　フと天帝は笑みを浮かべる。「……あんたが、そこまで平和主義には見えないんだがな……考え自体物騒だし」　不信だといわんばかりの顔でロードは天帝を見る。「……リヴィエ……お前の母が言っていたんだ。私の事は好きにはなれないが、私の治める天界は嫌いではないと……」　天帝は目をそらし呟く。「──それだけ？」　ロードの顔は呆気にとられ、怒りの色は完全に消えている。「誰かを想う気持ちが判るのなら、やめてください」　それまで言葉を発することのなかったりらが、ゆっくりと口を開く。「りら」　隣にいた冥王は驚いた顔でりらを見た。　その目は真っ直ぐに天帝に向けられている。「誰かを犠牲にして本当に平和かって言おうと思ったんです……だけど、私の気持ちは……そういうことじゃないから」　ちらと見たロードと目があい、りらは顔を赤くしながら慌てて天帝に視線を戻す。「私から、ロードを奪わないで下さい」　ただ、まっすぐに。りらは天帝を見る。「記憶を取り戻したか」　天帝はフと微笑む。「……判りません。どこからどこまでがアリルのものか……ただ想いは同じで……はっきりした想いがあります。私はロードと一緒にいたい、そして」　りらはもう一度ロードを見る。「一緒にいてほしい」　まっすぐな瞳に、ロードは気圧される。「なるほど。冥王殿が惹かれる理由が判る」「なかなかでしょう？　神族の目を真っ直ぐに見据えられる魂の者などそうそういませんよ」　天帝の言葉に、冥王もにっこり微笑んで返す。「うちの馬鹿息子よりマシだな」「てめぇの目なんざ見つめたくもねーよっ」「天帝サマ……」　和やかな空気になったのを見てか、床に座り込んでいたエニィが口を開く。「私もジルも優しい天帝サマ、大好きデス」（ジル？）「ロードにぶっとばされた彼ね」　りらが首を傾げているのを見て冥王が小さく耳打ちする。「でモ、入れ替わル話する天帝サマ、とてモ怖いデス。怖い天帝サマにナってほしくないでス。私とジル、ずっと天帝サマ守りマス。だから、優しいママで……いてほしいでス」　きょとんとした顔をしていた天帝が、クッと声を詰まらせ笑う。「流石に……エニィに守ってもらうのは……格好悪いなぁ」「そんなことないデス！」「あほらし。いくぞ」　ロードは玉座に背を向け、りらを引っ張るようにしてその場を後にした。<nextPage><a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033.html">1</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_2.html">2</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_3.html">3</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_4.html">4</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_5.html">5</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_6.html">6</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_7.html">7</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183.html">8</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_2.html">9</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_3.html">10</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_4.html">11</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_5.html">あとがき</a><br>　話し声がしていた。（……あぁ……魂戻すとか……だっけ……）　あれからあまり離れすぎていると肉体のほうがもたないという理由で天界を去ることになり、りらは魂だけにされた以外の事が判らない。「お？　目が覚めたか？」　二人の声がようやくわかった頃、目を開くとやはり知っている二人の顔があった。「ロード……と、先輩……？」「呼びやすい方でどうぞ」　戸惑うりらに、冥王こと先輩はにっこりと微笑む。　びき。（！）　身体を動かそうとした瞬間、あまりの硬さにりらは苦悶する。「いっ……た」「あー、こっちじゃ２〜３日経ってるから。動くのはもう少し待ったほうが」「……はやく……いえ」　ロードの言葉に、りらはうらめしげな目を向ける。「大きな動作はきついと思うけど、丸一日も眠れば馴染むと思うから」「寝てろ」　優しく言う冥王の言葉を遮るように、ロードが言う。「でも……」「傍にいてやる」　躊躇うりらにロードは続ける。「契約のし直しだ。願いはまだ叶えてないからな」「素直じゃないねぇ」「茶々入れんなつってんだろ」　にやりと笑う冥王にロードはふてくされる。「契約……」「照れ隠しだから、そこは気にしなくていいと思うよ」　呟くりらに冥王は微笑む。「……起きたら言う」　つられるようにりらも微笑む。「だから……待って」　そう言うと同時に、暗闇が吸い込むようにりらを夢路へと誘った。言いたい言葉は決まっている。（ずっと……）　目が覚めたら、きっと── <nextPage><a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033.html">1</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_2.html">2</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_3.html">3</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/08/26033_4.html">4</a>　<a 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href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/07/81183_5.html">あとがき</a><br><あとがき>2012.02.21な、なんとかリメイク完了です。誤字脱字はおいおい←相変わらずです。それでは、またの更新まで…うっかりしてると１年とかあっというますぎて……<br>2010.08.23あと一回（１ページ追加）で終るかな？ってとこまできました。がんばりまっすｗもう、ノリでGOGO、誤字脱字は二の次です。発見したら脳内補正お願いします（ぉつか１記事ごとの頁と文字数制限あんのかな？＾＾；長々打ってやつを貼ったら確認で表示されず…新たに記事作って（下にしたかったので、最初に投稿したのより前日付にしてみたり）貼り付けたら表示されてるし。んーむ<br>2010.08.22またしても１年以上ぶりですこんにちは（汗こりゃやべぇ。昨年はゲーム作成、今年前半はpixivの企画にどっぷりでございました。す、すみません、放置しすぎです。小説ならそんな時間かからなんで、できるだけ書くようにしていきます、いや、もう、まじで・・・たぶん・・・言い切るとできないジンクスは健在です＾＾；ので、少し濁しつつ。<br>2009.03.02一年以上たってしまってました、ぎゃー・・・（汗お久しぶりです。ちょっとイラスト頑張ってみようかなーとか、生活たてなおしとか、そんな昨年でございました。]]>
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 <title>RADA</title>
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 <description>(1)　２　３　４　５　後記</description>
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 <pubDate>2007-06-19T16:53:33+0900</pubDate>
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<![CDATA[<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/2007-06.html#20070610" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/2007-06.html#20070610"><プロローグ>(1)</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_2.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_2.html">２</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_3.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_3.html">３</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_4.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_4.html">４</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_5.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_5.html">５</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_6.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_6.html">後記</a><br>＜プロローグ＞　　薄い月明かりが木々に囲まれた小さな草原を照らす中、青年は立っていた。　腰よりも長い髪は黒でも灰色でもなく例えていうなら銀色の絵の具と黒を混ぜたような黒銀、尖った耳先は人間の倍ほど長く獣毛がある。が、異形というには端正な顔立ちが補って余りある程で、静かに佇む様は空想の世界を絵にしたようであった。　静かな風が草を揺らし、通常ならば聞き逃してしまいそうな紛れて聞こえた音に、その方向に青年は目を向けた。「遅かったな」　声に抑揚はなくどことなく冷徹な印象を与える。「申し訳ない」　黒い木の陰から黒髪を肩にかけるかのようにゆるやかに束ねた青年が現れた。何かを気にしたように出てきた彼の素振りから、黒銀の青年はその後ろに女性の姿を見つけた。「鳴夜（メイヤ）！」　わずかにだが声を荒げ黒銀の青年は驚きを露わにした。「父様……おひさしぶりです」　見た目にはそう年齢に違いはないのだが、柔らかそうで緩やかなウェーブのかかった髪の女性、鳴夜は黒銀の青年をそう呼んだ。「河岸（かし）……どういうことだ？」　黒銀の青年は、黒髪の青年に問う。「隠していたつもりだったのですが……城を出る前につかまりました」　ばつが悪そうに微笑みながらも、黒髪の青年、河岸は素直に答える。「酷いわ河岸。まだ十年も経ってないとはいえ夫婦なのよ。隠し事があるってコトぐらい見破れないとでも思ってた？」　城を出ようとしていた青年を捕まえる時と似たようなセリフを鳴夜は吐き、軽く頬をふくらませた「大体、父様もこっそり河岸にだけ連絡とって呼び出すなんてどういうつもり？」「どうもこうもあるか。羅阿陀（ラアダ）が消えた」　黒銀の青年が言うや否や河岸と鳴夜の表情が一転し、強張った。「……」「なぜ……」　鳴夜だけが疑問の声を投げる。河岸は呼ばれた時にでも知っていたのだろう、次の言葉を待つように黙っていた。　黒銀の青年は嘲笑を浮かべる。「貴様らが……いいや、河岸……娘をたぶらかしたおまえが吹き込んだのではないのか？」「なっ！」　カッと怒りの色を浮かべたのは鳴夜だった。「なんてこというのよ！　森に迷い込んだ河岸に私が勝手に惚れて押し掛けたも同然なのに！」　黙って立っていれば大人しく優しい美女の印象を与える鳴夜だが、その実行動派であることを自ら露見する。　しかし黒銀の青年は異議を認めるつもりはないらしく反応をみせない。「それに……」　何かを言いかけながら鳴夜は口を閉じる。「鳴夜？」　腕をギュと掴まれ、河岸は確かめるように名を呼ぶ。「外の世界のことを話したりした事なら、私に心当たりがあるわ」　その言葉を聞き、黒銀の青年の顔が呆れたという表情を作る。気を落ち着かせるためか、しばし目を閉じ軽く息を吐いた。「私の娘ならば……＜ラーダ＞の役割を分かっていると思っていたのだが……親バカすぎたようだな……」　怒っているのか侮蔑しているのか娘に向けるとは思えない冷たい眼差しが鳴夜に向けられる。　全身が凍りながらも鳴夜は言葉を紡ぐ。「役目ってなによ？　森を守るためだけに産まれて、森が弱って＜ラーダ＞を産めなくなったから次の＜ラーダ＞を産むためだけに生きるなんて……決められてる道だけしか歩ませないなんて可哀想じゃない！　あの子が生き方を選ぶ道があったっていい筈よ！」「羅阿陀に必要なのは自由を求める意識ではなく、森を守る意志だけだ！」　雷のような怒号が森に響いた。「なっ……何よ父様のばか！　ロリコン！！」　娘の精一杯ながらも幼稚な反論に、黒銀の青年はめまいを覚えた。「なぜ……そうなる」　こめかみを押さえ問う黒銀の青年の姿に、河岸は笑いをこらえていた。「いくら父様が若く見えたって何百歳も違うくせにっ！！　同じ＜ラーダ＞だからって、人間に置き換えたらロリコンじゃないのっ！！」　屁理屈である。　しかし黒銀の青年は娘が何を言いたがっているのか感じとっていた。「……くだらん……つまりお前は里夢（リム）以外の者と私が交わることに反対なのだろう？」　母の名を出され核心そのものをつかれた鳴夜は沈黙した。「亡くなった者だけをいつまでも想っていることはできまい。まして、己の役目としてやらねばならぬ事があり、どうするべきかまで分かっているのならば尚更」　それでも何か言いたげに目で訴える鳴夜に黒銀の青年は告げる。「人間に浸食され森は生気を失い枯れ始めている。このままでは数年後には緑のない大地へと変わるだろう……それでも、おまえは私たちが＜ラーダ＞として生きることを阻むのか？　拒むのか？」　鳴夜は答えが見つからずに困惑する。　わずかなの沈黙の後、応えたのは河岸であった。「いいえ」　鳴夜はハッと傍らの河岸を見上げる。　河岸は優しく微笑みだけで応じると、再び黒銀の青年に視線を戻した。「私は鳴夜と出会えたこの森を、とても大切に思っています……。けれど、羅阿陀に森の中だけでなく人間（ひと）と共存して欲しいとも思います」「それで？」　冷ややかな声で黒銀の青年は問う。「人柱……ご存知ですか？」　黒銀の青年の口の端があがる。「貴様の命で森がどうにかなるとでも思っているのか？　一国の王とはいえ思い上がりも甚だしい」　自然の衰退を人一人の命でどうにかできるものか、と言葉にあざけりの音が含まれる。「自然を相手にするつもりはありませんが、羅阿陀にひとときの自由を与えるぐらいはあるだろうと自負しているんですけれどね」「河岸……」　腕を掴んでいた鳴夜の手に力が籠もる。「＜ラーダ＞の娘をたぶらかしたぐらいですから、素行の悪い王としては何時、何があってもいいように「もしも」の時の事は弟に頼んでありますから」　優しい語調ながらも嫌味を含ませ河岸はそう言い微笑む。「鳴夜、息吹（いぶき）を頼……」「いや」　河岸が皆まで言うより早く、鳴夜は否定した。「息吹は大切よ……でも、だからって一人になるのはいや。子供はいつか親から離れてゆくわ……大切な人といつか必ず出会える……私は今、大切な人を失いたくない……傍にいるのに……失ってまで生きていたくない！　お願い……」　呆れた、というため息が河岸から出る。　けれどその表情はとても満足そうに嬉しそうに微笑んでいた。「求婚された時思い出すなぁ」　河岸ののんびりとした言い方は、この先のことを微塵も感じさせない。「ずっと一緒にいてって……言っただけじゃない」「そうだね」二人はクスと笑い、黒銀の青年に向き直った。死を受け入れる為に。<br><nextPage><a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/2007-06.html#20070610" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/2007-06.html#20070610"><プロローグ>(1)</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_2.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_2.html">２</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_3.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_3.html">３</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_4.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_4.html">４</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_5.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_5.html">５</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_6.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_6.html">後記</a><br>　雑踏の中、黒髪の青年−青年というよりもまだ少年の色濃い顔立ちではあったが−は足を止めた。　煉瓦の敷かれた街の中央の噴水広場の脇に人だかりができていたからだ。　連日、テント屋根の露天が出て賑わっているがひとつの店に山ができることはさほどない。何か掘り出し物か、おもしろいことでもあったかと青年は謝りながら器用に人混みをかき分け最前列にたどり着いた。　その先に現れたのは……。「安いよ！　ちょっと訳あり不良品だが、観賞用にはもってこい！　どうだいそこの若いの夜の……」　青年の顔を見たとたん、商人は言葉を詰まらせた。青年は商人と目が合うと「続けて」と目で合図した。　しかし、どこまで言ったか勢いだけで喋っていたためしばらく思い出すのに時間が必要だった。　周りにいた人垣からヤジが飛び出す。「夜がどうしたってー？」「色が珍しいだけじゃ今時売れねぇぞー！」　コホン。　細身の体の商人らしく威厳のない咳をし、言葉を紡ぐ準備をする。「どうだいそこの若いの？　夜に独り寝さびしけりゃ添い寝にひとつ！！」　ひとつ……といっても指した先にはその唯一品だけがいた。　緑色が輝いているかのような緑銀の髪、翠玉のような瞳、白い肌、服を着ている状態でも細いがゆるやかな曲線を描く肢体。　可愛いらしい顔をしているし、なかなかに青年好みでもあった。　別に添い寝には不自由していないし、稀な色だけ覗けばさして珍しくもない複製人形。　複製人形とは人間の細胞から培養されたクローンともいえるのだが、その提供者はまず絶対にばらされることはないし、大抵遺伝子の操作により顔や髪や目の色も変えられるので、特にそのままを希望しない限り元となった人間の顔が割れることもない。　あとは複製人形導入法なるものに触れない程度に扱えばいいだけだ。　望めば多少の変人扱いは避けられないものの恋人にもできるし、家族にもできる。　少女姿の人形を観察しながら、青年は「不良品」という言葉を思い出す。「ふざけるな！」　人垣の中から怒号とともに、いかにも金をもてあましていそうな樽腹で坊主頭の肉塊が転がり……もとい、商人に向かって歩みよっていく。「こいつぁ、満足に添い寝ひとつもできねぇで俺が返品した代物よォ。破格ったってドブに金捨てるようなもんだぜぇ！　やめとけやめとけ！」　親切心というよりは人の視線を浴びたいが為にといった感じだ。ニヤニヤと笑みを浮かべながら、少女の顎に手をかける。「お客様っ、困ります！　返品された以上、この子はもう店のモンなんですからっ！」「うるせぇ！」　肉塊が商人を片手で突き飛ばすと、誰もが予想したとおりに商人はよろついて地に倒れた。　急な事に周りも静まる。　少女はおびえ、肉塊の手をふりほどけないようだった。　その少女の表情に”なる程”と青年は「不良品」の不良部分を見つけた。「おまえみたいな不良品かわいがろうなんてぇヤツぁいねぇ。どうだ？　考え直すなら買い戻してやってもいいぞ？」（気に入らない）　いかにも下種な笑みと物言いに青年がそう思った時、足はすでに歩を進めていた。「俺が買う」　肉塊の腕を掴み、青年は捻りあげた。　肉塊よりふたまわりも細い体躯のそこにどんな仕掛けがあるのかといわんばかりに、肉塊は呻きながらもされるがままだ。「あ……あの……」「うん？」　肉塊の手を捻ったまま、青年は声を発した少女を見る。「言葉も出せないぐらい痛がってるみたいですから……放してあげて……」　言葉を探すように視線を泳がせ、少女は言う。「……人形に心配されちゃ、お終いだな」　青年はわざと嫌味をたっぷり含めた声で言うと、肉塊が商人を突き飛ばしたように荒々しく解放した。　肉塊はといえばおきまりの「覚えてろ！」などというセリフを残して去ったが、勝利者は大抵覚えていないのがセオリーである。　人垣も買い手が現れたことと、いざこざが収まったことで散りはじめた。「大丈夫か？鑽孔（さんこう）」　声をかけられ、座ったままになっていた商人・鑽孔は我にかえり立ち上がる。「す、すみません、でん……」「町中じゃそれはやめろって。名前でいいからさ、息吹で」　はぁ、とうなずきながら困って鑽孔は頭の後ろを掻く。「で？　この不良品いくらだって？」「そ、そんな！　滅相もない！　……息吹様にはいつもお世話になっておりますし、代金は頂けません！」「あれは俺じゃなくてウチの使用人として義父（とう）さんが買ってるからなぁ……」「神楽様にもご贔屓頂いてるおかげでうちは成り立ってるようなものですから、それに不良品ですから……廃棄したものを拾ったとでも思っていただければ……」「ああ、そうそう」　商人の言葉に息吹は今更ながら思いついたかのように声を発する。「精神制御されてないのが不良か？　表情があからさまなんで殆どの人間が気づいてたんじゃないか？」　息吹が言い終えると泣き出しそうな表情で商人は息吹を見た。「そぉなんですよぉ！　なんべん＜箱に＞入れて精神制御かけても効かないんですぅ！　ですから先ほどの方が主の時もあからさまに渋い顔をしたりしたみたいで……しまいには逃げだそうとしたとか」　さめざめと泣くふりをして鑽孔は語る。「……そりゃまた元気な人形だな」　クスと息吹は笑い、自分より頭ひとつ低い少女を見やる。　少女自身もまずいと自覚はしているのか頬を染め俯いている。「拾いモノ、ね」　同じような笑みと感情のない言葉しか話さない人形と違う、不良品。　そうなることを期待するのか願うのかわからないが、息吹はつぶやいていた。「名前はあるのか？」「ふゆな！」　息吹の問いに少女は表情を輝かせ答えた。「生きる命って書いて、そう読めるんだって。誰につけてもらったか覚えてないけど……」　輝きが灯りを吹き消したようにシュンと萎む。「そうか、生命か。俺はイブキ。息を吹くって字だ」　間にフゥッと息を吹く動作を入れ説明すると、生命はクスと笑った。　その思わぬ笑顔に、　息吹の胸が鳴った。（へぇ……）　人間と変わりない、ともすれば人間より表情豊かかもしれないと、興味が湧き出す。「生命は、俺が主でもいいか？」　はにかみながら問う息吹をじっと見、生命は頷く。「今から主なんですね？　それじゃぁ……息吹様？」「……様はなくてもいいけど……まぁ、いっか」　息吹はくるりと鑽孔の方を向きニッと笑う。「じゃ、お言葉に甘えてもらってくわ」　もはや親しげな間柄のように生命の背に腕を回し、帰途へと誘導している。「何かあったらすぐ連れてきてかまいませんからねー」　鑽孔はどことなく不吉なことを息吹の背に投げながら、処分せずに済んだ不良品を優しい眼差しで見送っていた。<br><nextPage><a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/2007-06.html#20070610" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/2007-06.html#20070610"><プロローグ>(1)</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_2.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_2.html">２</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_3.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_3.html">３</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_4.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_4.html">４</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_5.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_5.html">５</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_6.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_6.html">後記</a><br>　生命は自分の目を疑った。　近づくにつれ、まさかと思う気持ちはあったが。　巨大な門の両脇に立つ兵士らしき門番に頭をさげられ、それに萎縮するでもなく平然と通っていく息吹の後ろを戸惑いながらついていくしかなかった。　町の中心の高台に建つ城。　今二人がいる場所は、そこ以外のどこでもなかった。　門を入ってしばらく、建物に入ろうかという時、息吹は足を止めた。「生命、まだ大丈夫か？　疲れてるなら部屋で休んで明日でもいいけど」「え？　あ、はい……そんなに疲れては」　街から歩き通しではあったものの、緊張の方が気になって判らないというのが正直なところなのだが。「じゃぁ、一応……挨拶しといて欲しいんだ。あ、礼儀とか気にしなくていいから」　あまり気はすすまない風に空に視線を泳がせながら、再び歩き出す。　生命は、ただついていくしかなかった。<br>「誰が真似しろって言ったかなー」　横長の赤い布貼りのソファに腰掛け、その傍らに銀髪でサイドの一部分のみが青みをおびた銀の色白な娘を置いた黒髪の青年が呆れたように息吹に向かってぼやいた。　息吹と生命は、その二人の前に対に置かれたソファに座っていた。「誰が真似するかよ。アンタのは闘技場で見てて気に入ってかっさらってきたんだろうが。俺のは困ってたからもらったの！」「かっさらうって、話勝手に作るな。シシリアが俺に惚れてついてきたのっ」「そこも勝手に作ってます。河岸」　穏やかな笑みを作りながら、傍らの少女がツッコミを入れた。「シシィ……旦那をたてようとか、そういう気持ちはないのか」　責めるというより、すがるような目でカシと呼ばれた青年は隣の少女、シシリアを見る。「いい年して子供と張り合おうとされてるからですよ。大体、今更、人形の一人や二人増えたところで困りはしないでしょう？」「かーさん……その子供ってさすがに、いや、まぁ、親から見れば子供はいつまでたっても子供とはいうけど。俺も２０過ぎてるんだしさ」　息吹はがっくりと、眉間に手をあててうな垂れる。「そりゃ、フツーの人形ならな。けど、難ありだっていうじゃないか。挨拶は出来るし、カワイイけど……正統後継者まで変人扱いされるのは俺イヤだぞ。これだから、きちんと教育うけてないのはなんだとか、俺が言われる！」「開き直ってここまできたくせに」　ポソリとシシリアが呟く。「俺は俺のことだからガマンできたのっ。俺のせいで息吹まで悪く言われたら、いなくなった兄貴になんて言えばいい？　もしフラっと帰ってきて成長した息子がヘンジン扱いされてたりしたら泣くぞ、きっと！」「「今更……」」　息吹とシシリアの声が重なる。「てか、とーさん話飛躍しすぎ。俺は生命を城に、俺の側に置くって報告しにきただけなのに、その言い方だと妻に迎える了解とりにきたみたいだぞ」　最初に挨拶した以外、一言も発していなかった生命がようやく「え」と小さい驚きの声を出す。「その側にで充分問題なんだよ。おまえは当然といえば当然、兄貴に似てるから期待も注目度も高い。初代以来、久方ぶりの賢王とやらにな」「中身は粗王に似ちゃったのにねぇ」　ふぅとシシリアが息を吐く。「だから、シシィ……愛が見えないぞ」「方向性は悪くないんだけど、強引とか横暴とか……粗暴のソ王ですものねぇ。確かに、お兄様が帰ってらしたら嘆き悲しまれそうですわぁ」「とにかく、城で働かせるぐらいなら問題はないし許可するが、側にってのはダメだ。おまえは……ちゃんとした妃を迎えてくれ」　おまえはの後に何か違うことを言おうとしたのか、間を空けて河岸は言った。「親父も、とーさんも好き勝手に生きてるくせに」　ポソリと息吹が呟く。「俺からは好きな生き方奪うつもりか？」　静かな声だが、無表情なその顔は明らかに怒りを発していた。「その生き方の結果があるから忠告しているんだ」「ふざけるなっ」　息吹は声を荒げ、立ち上がった。「俺の結果は、俺がだす！　それで王にふさわしくないと言われるなら、位などいらない」　息吹は生命の腕を掴んで立ち上がらせ、ドアに向かって大股で近づいた。「息吹！」「しばらく城には戻りません。では」　背を向けたまま二人が視界にはいる程度にだけ首を回し、息吹は言い放って扉を閉めた。「あー」　瞼を手のひらで多いながら、河岸は天を仰いだ。「親バカ」　呆れた顔でシシリアが呟く。「粗王のソは粗野でもあったわね。ほんと不器用なんだから」「……なんかなぁ。俺や兄貴みたくならないようにって頑張ってきたつもりだが、思いっきり反作用して似てくれたよなぁ」「問題なのは、それなのに嬉しそうなところよね」　はーっとシシリアは溜息をつく。「親バカだからねぇ」　手のひらの下で、そう言った河岸の顔には笑みが浮かんでいた。<br><nextPage><a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/2007-06.html#20070610" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/2007-06.html#20070610"><プロローグ>(1)</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_2.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_2.html">２</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_3.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_3.html">３</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_4.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_4.html">４</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_5.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_5.html">５</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_6.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_6.html">後記</a><br>「いいんですか？」　木々が両脇に広がる道、生命は息吹の後に続きながら問いかけた。　そこはもう森で、道といっても細く人が二人並んで歩ける程度。今更ではあったが。「何が？」　振り返った息吹はけろりとした表情だった。「何って……喧嘩ごしで出てきて……」「ああ、大丈夫。城を抜け出すいい口実になったし」　ニッと息吹は笑みを浮かべ、ウィンクを投げる。「こ、口実って……」　生命は軽いめまいをおぼえた。「息吹様って……本当に……王族なんですか？」　気さくな人柄、言葉遣い。シシリアの言っていた「変わり者」という言葉をしみじみ感じながらも問わずにいられない。「一応ね。でも、ウチはこんなもんみたいだよ。王族ったって、由来とか特になくって集団の代表が皆に慕われてるうちに「王」になったような感じだし。あくまでも集団の代表者ってとこかな」「つまり……外ヅラだけよくしてればいいと……？」　生命の言葉に「ぶふっ」っと息吹は吹き出した。「言うなぁ、生命」　くっくっと喉を鳴らすように息吹は笑う。「まぁ、そんなだから外交はあんまし得意じゃないんだけどね。ここんとこ、見合い話多かったしね」　最後の言葉に生命は言葉を無くした。「生命？」「息吹様でも……お見合いするんだ……」　生命は目の前の青年をしげしげと見つめた。　黒い髪を無造作に束ねた細身の青年。深い青色の瞳。黙って立って、豪華な刺繍のある服を着せ、マントでも羽織らせれば、確かに絵になるだろう綺麗な顔立ちだ。「なんだよ？おかしいか？」「いえ……黙ってれば王子かも……」　口にしてからハッと生命は我にかえった。「あっ、いえ、あの、すみません！」　青ざめたり赤くなったり顔色を変えながら、あたふたと生命は訂正する。「生命がいいな」　すっと生命に近寄り、息吹は視線をあわせるために、顔を近づけた。「え？」　戸惑う生命の頬に、息吹の手のひらが添えられる。「生命みたいに、可愛いヒトがいい」　青い瞳がまっすぐに、緑色の瞳を射抜く。「あ……あの……っ」　生命は体が熱くなり、頭の中が真っ白になった。言葉が浮かばない。「なんてね」　生命の頬から手を離し、息吹はぺろと舌を出す。「喋ってもグラっときただろ？」　悪戯な笑みが全てを物語っていた。　生命はからかわれたのだ。「ひ……っどい！　もぉっ、息吹様なんて知らない！」「だーっ、悪かった、悪かった！ そっちが黙ってればなんて言うからっ」　来た道を戻ろうとする生命の手をとり、息吹はひきとめる。「……だいたい今のは王子とかじゃなくって、単なる口説き文句じゃないんですか？」「……」その言葉に息吹はじっと生命の顔を見る。「な、なんです？」　どもりながらも生命が問い返す。「いや、口説かれるとか、わかるんだなぁと思って」　息吹の言葉を聞いても「？」マークがついたような顔をしているが、わからないのは生命だけなのだろう。　精神制御された人形達には、そういった感情はない。主の命ならば体を投げ出すし、言われるままに動くだけ。口説いたところで、それは命令としてしか人形は認識しないのが普通なのだ。「生命は俺となら寝る？」　前の主のところから逃げ出したという生命。何があったかまでは知らないが、あのいかにもそうな肉塊ならそういうこともあったのではないかと邪推がそう言わせた。「なっ、なんですかっ！　急に！」　耳まで赤くしながら生命は後ずさる。　「添い寝だけじゃない」という意味事態は気づいたらしい。「ふぅん……嫌か……」　気落ちしたふりをして、とぼとぼと歩を進め出す。「え？　あの？　息吹さまっ？」　振り返らずとも、あわてて追いかけてく足音が聞こえる。「あの、嫌じゃないです……けど、あの、まだ息吹様がどういう方か知らないし、それに、私人形ですし……いえ、人形だからってそういう目的だけでってのも嫌ですけど……」　「えっと、あの」を繰り返し生命は必至に言葉を紡いでいる。言葉のつながりが変になっているのも気づかないほど混乱しているらしい。　息吹の肩が震えた。　ぶはっ。　堪えきれなくなった笑いが、思い切り口から飛び出す。　生命の目が点になる。「……息吹さまぁ……」　怒りのオーラが背後から強く迫り、息吹は慌てて笑いを止める。「いや、ほらっ、どれくらいらしくないかちょっと試したくなってさー。もぅ、見事なまでに反応してくれるから、つい」　振り返ってなだめるが、膨らんだ頬はおさまりそうにない。　が、それはそれで可愛らしくて、息吹は笑いを堪えるのに必至になる。「しりませんっ」　そう言い、生命は息吹の脇をすり抜け森の奥へと進み出した。（当分、退屈はしなさそうだな）　深い緑の中でも目立つ、緑銀の髪をゆらし歩く少女を見ながら息吹は楽しい気持ちをかみしめていた。<br>　たどり着いた小屋は閉め切られていたせいか、すこし湿った空気を放っていた。　生命は荷物を隅に置いてからばたばたと動き回っている。「なる程……掃除なんかは出来るわけだ……」　息吹はといえば木造りの質素な椅子に腰掛け、中央に位置するテーブルに頬杖をついて呑気に眺めていた。（まぁ、ここは管理人がいるし。たまに掃除きてるだろうから……手伝うこともないかな……）　部屋の中を見回し、様子を見て息吹は判断する。「食料とかどうします？　干し肉とか保存用のものもありますからしばらくはもちそうですけどー」　台所のほうからひょこと顔を出し生命が尋ねる。　身一つでもらわれてきた彼女には金も服もなく、服は適当に女官に見繕わせたものを数着持ってきただけだ。「まぁ、なんとかなるかな……」　どのくらい滞在するかは決めていないだけに、結局息吹の懐次第なのだ。　とはいえ、贅沢を望まなければ長期の滞在も可能ではあるが。「掃除は済んだのか？」「はい。あんまり汚れてなかったから楽でした。シーツとか少し風とおした方がいいでしょうから、すぐには横になれないですけど」「……じゃぁ、少し外でも散策するか……つきあうか？」　机の端にたてかけていた剣をとり、息吹は問う。「はいっ」　生命は元気よく頷いた。<nextPage><a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/2007-06.html#20070610" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/2007-06.html#20070610"><プロローグ>(1)</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_2.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_2.html">２</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_3.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_3.html">３</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_4.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_4.html">４</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_5.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_5.html">５</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_6.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_6.html">後記</a><br>「元気だなぁ」　小さな泉の端で膝ほどに浸かりながらも、ばしゃばしゃと走り回っている生命を見て、息吹は呟いていた。　小屋からそう遠くない開けた場所にその小さな泉はある。　息吹は近くにあった木にもたれかかり、その光景をぼんやりと見つめていた。　そうして心地よい日差しと木々の子守歌にいつしか眠りに誘われ、おちていった。<br>　どのぐらいの時間がたったのか。　息苦しさを覚え息吹は目を開けた。（陽は……まだ高いな）　何なのかわからない不安に、横に置いていた剣に手を伸ばす。「生命？」　ゆっくりと見回すが、近くに姿がない。「あなたなんか知らない！」　しずまりかえっていた空気を奮わすように、高い声が響いた。生命の声だと判断するより先に身体が動いていた。声のする方に。「生命！？」　脇にある木々を抜けたところにその緑髪を見つけ息吹は呼んでいた。　が。　その先にいる者を視界に認め、足を止めた。　黒い衣服に黒い髪、いや黒というには適切ではない不思議な光沢の髪。黒銀のとでもいうのか。艶やかな髪をなびかせた綺麗な顔立ちの青年が佇んでいた。「息吹様っ」　駆け寄ってきた生命がしがみつき、息吹はようやく我にかえる。「……ほぉ……あいつに似ているな」　青年は息吹を見ると口元に笑みを浮かべ呟いた。　だが目は笑っていず、冷めた目で、観察している目だった。「あなたは……？」　様子を見るために、息吹はあたりさわりない言葉遣いを選び聞く。「この森に棲んでいる者でね。その子とは知り合いなのだが、記憶がないようだね」　青年が生命に視線を移すと、怯えたように生命は息吹の腕にしがみつく。「あまりいい印象の知り合いではないようですね」「そのようだね」　さらりと青年は応える。　息吹はこの青年自身から重い空気を感じていた。息苦しさの原因は、この威圧感だと。「まぁ、役目を放って飛び出していったのだから……怒られるのが恐いのだろうよ。なぁ？　羅阿陀」　最後の言葉に生命の肩が震える。「まてよ、らあだ？」　どこかで聞いた言葉だと息吹は呟いてみる。「ラーダとも言うな。お前達は」「ラーダ！？」　自分でも出すつもりもなかったのに大声で言い、息吹は思わず手で口をふさぐ。　驚いた生命も腕を離し、自分の胸元を押さえるように手を重ねていた。「ラーダって……森を……大地を守り続ける神の化身ともいわれてる聖獣じゃないか……」「神の化身かどうか確かめようはないが……森を守る一族で森より生まれるものであることは確かだ」　青年は淡々と言う。「だったら尚更……ヒト違いだろう？　複製人形だぜ？　生命は」「ほぅ、クローンとして紛れこんだのか……確かに多少人間らしくはなくても、それならば疑われまいよ。いらん知恵だけはあるようだな」　むか。　青年のもの言いに何か胸の辺りに詰まる感触を覚える。「そうして記憶まで封じ、森が滅びていこうと己が生きたいように生きられれば満足か？　羅阿陀の名が泣くな」「人違いだって言ってるだろう！」　生命を後ろに隠すように息吹は間に立つ。「その顔……気に入らんな」　は？と息吹が問う間もなく四方から延びてきた細長いものが身体を縛った。「蔦！？　なんでこんなもんが……っ」　ぎりぎりと手足をおさえ、しめつける。「大人しくしていろ。羅阿陀さえもどれば人柱などいらぬのだ……貴様の命をとるまではせん」「ひとばしら……？」　何が言いたいのか、何をしようとしているのかわからない。だが、この青年からは嫌な気配しか感じない。「やめてっ！　私はあなたなんか知らないっ！　息吹さまをいじめたりしないで！」　絡まる蔦をほどこうとしながら生命は叫ぶ。「いじめる……ねぇ。それで羅阿陀としての記憶がもどるなら、いくらでもいじめるのだが」　ふう。と青年は息を吐く。「おい、小僧」　確かに青年の方が年上だろうが小僧よばわりされては、流石の息吹もムッとくる。睨みかえすものの、青年は気にするでもなく続けた。「生命とやらの作られた日までさかのぼってみるんだな。いつ紛れ込んだかわからないってのが結果になるはずだ」　そう言い終わると同時に蔦は緩み、地におちる。さっきまでの生きていたかのような動きはない。「そうだな……調べに行って戻ってくるまで……小休止も含めて３日間やろう。街までの距離から考えて妥当だろう？」　青年はゆったりと考える動作をしながら告げる。「なんで……あんたの言う通りにする必要がある？」　縛られた手をさすりながら息吹は不服そうに問う。「時間がないからだ。森はこうしている間にも滅びていく。羅阿陀と私が交わり、新しくより強いラーダを生み出し森を活性化させるのが役目なのだ。さらっていくのは容易いが、じゃじゃ馬ならしが趣味というわけでもないのでね」「あんた……も、ラーダなのか？」「ああ」　背ごしに応えると、青年は瞬きをする間にいなくなっていた。「息吹……様」　生命が服をひっぱるように腕の部分を掴む。　不安そうな目を向け、戸惑っているのだけは確かだった。「ばかだなぁ。だいじょうぶだよ」　息吹は軽く生命の頭をぽんぽんと叩き、笑った。　何が大丈夫で、何が不安なのか、わからないけれど。<br>please,waiting for next...<br><nextPage><a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/2007-06.html#20070610" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/2007-06.html#20070610"><プロローグ>(1)</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_2.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_2.html">２</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_3.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_3.html">３</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_4.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_4.html">４</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_5.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_5.html">５</a>　<a href="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_6.html" mobile="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/2007/06/21619_6.html">後記</a><br><br>【３ページ目後記】付け足し即興（笑河岸とシシリアの話を織り交ぜようかとも思いましたが、長くなりそうだなぁとハショりました。ここでプロローグとちょっと繋がりが見えるかなーとか。(2007/06/17)<br>第二弾は初期サイトでも掲載していたRADAです。これちょっと長くなるので、少しずつ追加していきたいと思います。小説の書き方のショの字も知らないってぐらい文表記めちゃくちゃです（笑しかも今発掘した保存ＣＤでは途中までの文しか保存してない（´д｀；<br>水王２で続きいっちゃおうかと思ったんですが、まずは同人にしたやつ！と、目標を見失わないように……ｗ<br>とはいえ修正しないと、うひー；な状態のモノだけに、そういった作業に疲れたら多分のせるやも（ヲイ臨機応変に（´ワ｀<br>すんません、でも実はいま、文より絵描かないとなんですが。ちょっと気分転換かねてます、はい。(2007/06/10)]]>
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 <title>水王</title>
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 <description>その歌は、とても微かで</description>
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 <pubDate>2007-06-09T04:33:28+0900</pubDate>
 <category domain="http://blog.surpara.com/cdmt/archive/category_3150-6755.html">小説/水王</category>
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<![CDATA[その歌は、とても微かでけれど、水面を優しく揺らす風のように暖かい光のように響いた<br><br>　一人の少女が自転車に乗っていた。　長い黒髪を後ろで一本の三つ編みにし、いかにもマジメそうな風体の少女だ。　田舎というには車通りも多い道、しかし少し脇にそれれば畑が広がるいわゆるハンパな田舎。　彼女は農道を帰途への抜け道にペダルをこいでいた。　ふと、視界に人影を確かめ、いつもはいないために油断していた胸を一瞬どきりとさせながら鼻歌をやめて通りすぎようとする。　それもそのはずで、見るからに同郷とは言いがたい見事な銀髪に長身の青年。　しかし、こぐ足を止める勇気はなく、目の端では気にしながら小さな橋に佇む青年の前に通りがかった時だった。（あれ？）「危ない！」　彼の口元に気づくのと同時に、体がぐらつくのを感じた。　ガシャン！　自転車が倒れる音が響く。　反射的に目を閉じていたが、投げ出される気配も、痛みもない。　ただ、腰を締め付ける力がある。痛くはないが。　おそるおそる彼女は目を開いた。「大丈夫？」　整った優しげな面立ちの青年が微笑む。　青年に抱きかかえられる形で、彼女は転倒を免れていた。「え！　あ、あ、はいっ。ありがとう……ございま、す」　見慣れない美形に戸惑い、彼女はしどもどになりつつ礼を述べる。「あの、でも……」「うん？」「名前、呼びませんでした？」　そんなワケはないと思いながらも、何をどうきりだすかタイミングを計る余裕もなく問う。「あぁ、気づいてくれたんだね結希名。でも、そのせいで危なくさせたのかな、すまない」「い、いえ、自転車、ちゃんと止めればよかっただけの話ですから……」「この道を通る時、いつも歌を口ずさんでいるでしょう。どういう人なのかなって思って、逢ってみたかったんです」「え、あれ、いつもって聴いてっ」　結希名と呼ばれた少女は顔を一気に赤くした。（て、あれ……）「いつ、も？」　青年の腕から知らず解放されていたことを知り、そのまま後退する。「うん」　畑と農水路と小さな橋。　水路に降りれなくはないが、足が水で濡れている気配もない。　そもそも、フツウに考えれば降りる理由はない。「え、えーと、草むらで除草作業でもしてたとか？」　あからさまに疑うのも失礼かと、なんとか関連づきそうな事を考えて口に出してみる。　畑の中には土地を休ませるために背丈ほどの草が生い茂っている所もある。　それならばこの青年が屈んでいても気づかないだろう。おそらく。「水の中ですが？」　青年はさらりと結希名の疑問を打ち消した。　水路は下のコンクリートが見えるほどに浅い。「あ、そ、そうなんだ」（ヤバイ、かも）　結希名は倒れていた自転車を起こし、ハンドルなども異常なく乗れそうなことを確認する。「そ、それじゃ、帰る途中だったんで」「待って。言い方がまずかったですね」　結希名は腕を掴まれ、ギクと体を強張らせる。「水中といっても、水を通じて存在している水界という所なんです」「すいかい？」（うわ、このヒトマジでやばいかもっ）　顔のよさに反した言動に、結希名は内心がっかりしつつ気持ちはすっかり退いていた。「証明しましょうか」　青年も態度から察したらしく言う。「え？」　ザァ。と。　音がした。　青年の後ろ、結希名の目線の先に水が弧を描くように浮かんでいる。「なっ、何！？」「水界へ続く門、水門です。あれを通ればすぐに水界に着きます」　ふわりと結希名の足が地から離れた。　驚きに完全に力を抜いていたため、手から離れた自転車は再び音をたて横たわる。「ちょ！　ちょっと！？」　お姫様抱っこ状態になり、落ちるのはイヤなりに足掻いてみる。「あまり暴れないでくださいね。水門は異界からの防御も兼ねている門。万が一落ちたりしたら」　青年は言葉を遮る。「命の保証、できませんから」「いっ」　や、と続けるまえに水が迫り、二人を包んだ。「ぎゃーっ」　色気もクソもない悲鳴をあげた結希名は、そこで意識を途切れさせた。<br>「まったく……聞いておられますか？　陛下自身のご決断とはいえ、異界の者をそうたやすく招かれるなんてもってのほか」　高すぎず低すぎず、凛とした声が目を開かせた。　視界には布なのか、赤が一面に入ってくる。　ベッドらしいがふかふかしすぎていて、逆に落ち着かない。　顔をゆっくりと横に動かすと、銀髪の青年とおぼしき後ろ姿と、声の主らしき女性がいた。「何事もなく、すぐに帰すというわけにもいかないのですよ」「わかっている」　二人のやりとりはぼんやりとした頭では何のことだか理解できなかった。（うわー……綺麗なヒト）　やっとハッキリしてきた脳が最初に思ったのは、女性の姿をしっかり確認したその感想だった。　銀色の髪に白いドレス。手には水晶玉のようなものを持ち、耳のあたりに魚のヒレのような飾りがついているが、お姫様のような出で立ちで、絵画から抜け出たような美女だ。「あら！　よかった、気がついたのね」　体を起こした結希名に気づき、女性がそれまでの調子とはうってかわった明るい声を発した。「はぁ……」　どう返していいか判らず結希名は気の抜けた返事をする。「ここに来る途中で気を失ったらしいけど、大丈夫？」「えと……」（ここ……）　さっきの青年が言うならば、すいかい。　水の門などから、おそらく水界だろうと結希名は結論を出しているが、だからといってハイそうですかと受け入れられるほど柔軟に出来てもいなかった。「あぁ、そうだ、紹介しよう。先王の代から王宮お抱えの魔法使い兼、占い師の鮎魚女だ。腕は確かだよ」「初めまして」　にっこりと美女が微笑む。「あ、はい、はじめまして……結希名、です」　アイナメ、が名前かな？　と、寝起きの脳に叩き込みつつ、紹介しながら言葉を脳で反芻する。「……王宮？」　他にも魔法使いだのビミョーな言葉があったが、かろうじてなんとか出来そうな単語を疑問符を足して口にする。「この人が今の王ね。これでも」「これでもって何だ、これでもって」　明らかに尊敬されてるとは思えない口ぶりで鮎魚女が続ける。「信じられないでしょー。立場を利用して、あなたのこと調べさせたり、様子を見たいとかって言うし、挙句逢いにいくからって手伝わされるし、連れ帰ってきて気を失ってるから診てくれとか、私用で私を使うぐらいだもの。ていうか、それで信じろなんて無理よねーっ」　それ以前に王だということすら知らなかった結希名には、どう返していいか判らない。「挙句ハーレムに誘われたりしてね」「鮎魚女！」　さらりと言う鮎魚女を制して、青年は声を荒げる。「何も知らないガキの頃の話だろうがっ！　言わなくていいことをベラベラと……」「あの、で、具体的に水界って……何処？」　ついていけない会話になんとか現状を見出せないかと結希名は質問する。　二人の会話はピタリと止まり、結希名に視線が集中する。「うーん、これは手ごわそうね」　手にしていた玉を両手でくるくるさせながら、鮎魚女が呟いた。<br>　ここは水界。　水の中に住まう人々の世界。　しかし城の中まで水が満たしているわけではなく、いわば水泡のように建物は存在しているのだという。　耳のヒレは飾りではなく、彼ら水界及び水棲の住人の特徴らしい。　王や貴族のような階級はあるが、身分というほどのものではなく、あくまで役割分担から派生したようなものだという。　結希名がなんとか理解できた概要はそんなところだった。「異世界なんて、あるのねぇ」　高い天井や何で出来ているかも判らない白いつややかな壁を見ながら結希名は呟く。「うん？」　隣にいた青年、水王は歩くのをやめて結希名を見る。「ごめんね、変人扱いして」　バツが悪そうに笑って、結希名は水王に言う。「気にしてないよ」「でも、気にしたから連れてきたのよね？」　的を射るような結希名の言葉に、水王が苦笑する。「いや、まぁ、それは……見せた方が判りやすいかなって思ったからだし」　再び水王が歩を進め、結希名もついていく。　観光はできないが、城の中を案内ぐらいならばと、特に何をするでもなく歩いているだけだった。「それでも、なんでかなって思うんだけど」「何？」「歌を歌ってたって言っても、外じゃ恥ずかしいから小声か鼻歌だし……お世辞にも上手くはないでしょ。だから聴かれてたって言われた時、めちゃくちゃ恥ずかしかったし……王様が気になる程のことかなぁって」　ヘタだろうが上手かろうが、ただ異界の歌ってる者が気になるというだけなら、何人でも何百人でも気にとまる可能性はある。　だから、結希名には疑問が渦巻く。「似てはいないんですが……母の歌声を思い出したんです」　ためらいがちな声で水王は言う。「私は生まれたときから王に成るべく育てられ、周りに同年代の者もなく、親しい者もなく、幼いながら孤独と不安にさいなまれることもありました」　カツカツと二人の足音が響く。「けれど眠る前のひととき、歌ってくれた母の声はそんな想いをも優しく消してくれたのです」　そう言った水王の横顔には穏やかな優しい笑みが浮かんでいた。「父と母があまり共にいるところを見た記憶はありませんが、ハーレムを持っているぐらいの人でしたからね。あの父にはもったいないぐらいの人だと思いますよ。おかげで、すっかりマザコンです」「あっさり言うのね……」　隠しておいて後で露見してがっかりするよりはマシだがと結希名は思う。（て、がっかりって……別に水王がマザコンでも自分には関係ないじゃない）　自分の思考に気づき、自分に対して弁明する。「歌声を聴いて、結希名も母のようにやさしい人なのだろうと焦がれていました」　結希名に優しい笑みが向けられる。　優しい笑みと優しい音の言葉と。優しい眼差し。　結希名の心臓が高鳴る。「そ、それじゃぁ、イメージ壊しちゃったでしょ」　あははと笑いながら、結希名は顔をそらす。「いいえ。結希名さえいいのなら、妃になって欲しいくらいですよ」　結希名の視界に入るように体を折り、顔を近づける。「かっ、からかわないでよ！　そういうの免疫ないんだからっ」　壁にはりつくようにして逃れ、ごまかし笑いを浮かべながら冗談でしょうと手を前後に振る。「本気です」　姿勢を正して、水王は結希名に向き直る。「話してみて、いえ、話しているうちに、結希名がいいと思ったんです。からかいや軽く言っているのでは……」「そりゃ、嬉しいし……フツウに考えたらもったいないけど……」「私が嫌いですか？」　捨てられた子犬のような目で水王が見る。「いや、そうじゃなくてっ！　そういう域で考えるには、いきなりすぎるっていうか」「そう言えないのは優しいからでしょう」　あたふたしている結希名の前で、水王はいたって落ち着いている。「だから結希名がいいんです」　その表情は、おそらく真剣なのだと結希名にも判る。　けれど、色々な事が結希名の中で否定を生む。「かいかぶりすぎよ」（だって、そんなの）　都合がよすぎる。　自分に。「だって、今日会ったばかりじゃない」　綺麗な人だって傍にいいる。　自分はマジメにはマジメだが、言ってしまえばそれは平凡で、取り柄という取り柄もない。「結希名？」　自分を見ようともしない結希名の名を水王が呼ぶ。　けれど結希名にはマイナスな思考ばかりが渦巻いて届かない。　自分自身で何かいいところを思い浮かべようとしても、何一つ浮かんでこない。　自分の情けなさに苛立ってさえくる。「それで、少し話しただけで知った風な口きかないでよ！」　八つ当たり。　それは結希名にも判っていた。　けれど、自分の感じている劣等感などきっと微塵もないのだろう相手だからこそ、ぶつけずにいられなかった。「そうだな……私の勝手なイメージで、勝手に……一方的になってしまったな。悪かった」「な、なんで水王が謝るのよっ」　顔をあげた時、視界がゆがんだ。「え？」　涙ではない。　ぐにゃりと、それこそ流れる水面ごしに川底を見るように。　視界が揺れた。　それは一瞬。　疑問に思う間もなく、サンゴのような壁というには隙間だらけで、しかし人の手しか通らないほどのそれに結希名の前は遮られていた。「何これ……」　後ろを振り返るが、何もない部屋だった。　四角く切り取られた箱のような部屋。　隙間だらけの壁の前には、人が２〜３人並べる程度の間を置いて後ろと同じような無機質な壁。　ずっと続いてるわけではなく、自分が手で掴んでいる隙間だらけの壁のようなものがはめ込まれている。「これ……もしかして牢屋……？」　まさかという思いで結希名は呟いた。 <br>「鮎魚女！」　名を呼ぶと同時に扉が開かれた。「結希名が消えた！」　慌てた様子で、声を荒げながら水王が部屋に駆け込んでくる。　あまりの大仰さに、鮎魚女は思わず軽く吹き出して笑った。「何故、笑う」「失礼。あまりに取り乱しておいでだから」　部屋の奥、幾重にも布が垂れ下げられ、その下で座っていた鮎魚女は尚も肩を揺らして笑っている。「何か知ってるな？」「知ってるも何も、私がやりましたから」　笑うのをやめて鮎魚女が水王を見据える。「陛下はとかく暴走しがちですから、水珠を通して窺わせて頂いておりましたところ、案の定といったところですわね」　手にした玉を胸元に抱き寄せ、ふうと息を吐く。「陛下に頭を冷やしていただくべく、かといってこの程度のことで臣下が王を牢に入れるワケにもまいりませんから、結希名どのに入っていただいたのですわ」「見ていたのなら話は早い。私が妃にと望んだ者に、このような扱いをして許されると」「頭を冷やしください、と申したはずです」　射るように鮎魚女が水王を睨む。「あなたは水界の王。一時の感情や空気で妃を選ばれては困るのです。それに結希名どのは異界の者。この世界にとどまらせることは彼女のためになるとも思えません」　鮎魚女の言葉に水王は目を閉じる。「判っている、それでも……欲しいと思ったのだ」　水王は鮎魚女の目を見る。「結希名は……顔色をうかがうでもなく素直に言葉を吐く。でも、それは己の言葉を形にするだけの強いものではなく、優しく響く。音も、言葉も、雲っていない。だから……なのかは判らないが、とても安らぐんだ」　口にしたことで照れくさくなったのか、水王は目をそらす。　その頬は微かに赤い。「まったく、その場のノリじゃないなら、もっと面倒ですわ」　はー、と鮎魚女は溜息をついた。<br>（やっぱ、王様怒鳴ったからかなぁ）　鉄ではないことは明らかにわかるが、他になんと言えばいいかわからない自分の世界でいうところの鉄格子に結希名はよりかかり、ふぅーと息を吐いた。「自分に自身がないだけの八つ当たりだって判ってるわよ。でも王様も占い師も美人だし、卑屈になったってしょうがないじゃない。大体、なんの取り柄もなくてそんなことで簡単にへこめる一般人に求婚する王様なんとかしなさいよ、こんちくしょーっ」　何だか誰だか判らないが自分を牢に入れたモノが聞いてて多少は同情してくれないかとぼやく。「一緒にいるだけで安らげるってすごいと思うんですけど」「！」　背後で響いた声に思わず跳ね上がる。「すっ、いおぅ」「すみません。鮎魚女に聞かれてまして、頭を冷やせと怒られてました。大丈夫ですか？」　水王が手を触れると鉄格子はそこから薄れてゆき、人が通れるほどの隙間を作った。　手が差し伸べられ、結希名はおずと手をとる。「うん……急に場所がかわってびっくりしたけど……ごめんなさい」「はい？」「八つ当たりで、怒鳴ったから……」「怒った顔も可愛かったですよ」　にっこりと水王が微笑む。「……だから、そういうの言われ慣れてないから、カンベンして」　まともに顔を見れず、うな垂れる。「あと言ってないことがあるのですが」「うん？」「通常、異界の者が水界に来たとき、まぁ大抵は不慮の事故で流れ着いたりなのですが、この世界に留まるか、水界での記憶を消してもとの世界に戻すかのどちらかなのです」　目が覚めた時の「何事もなく」の意味がわかり、なるほど、と結希名は心の中で納得する。「けれど、忘れて欲しくないと、傍にいてくれればいいのにと思った瞬間……求婚してたんです」　水王は苦笑する。「私よりキレイな人とか、頭のいいヒトとか、歌のうまいヒトとか……いっぱいいるでしょう？　それなのに？」「声を聴いて、それに惹かれ、私を異界へと向かわせた。そんな結希名だからこそ、意味があるんです」　やっぱり都合のいいおとぎ話だと、結希名の中のイヤな自分は言う。（でも、私……今……）「結希名は帰りたいですか？」「え、そりゃ、まぁ」　思っていたことを見透かされたようで、思わずドキリとする。（一瞬、帰れなくてもいいって、思った？）「では、お送りしましょうか。あまり長引くと、帰したくなくなってしまいそうですから」　水王は少し寂しそうに微笑んだ。<br>　帰りは一瞬だった。　行きで気を失ったのがフシギなぐらい、扉をくぐりぬけるような感覚で水門をくぐっていた。「今度は気を失いませんでしたね」「そりゃぁ、だって、わけわからないままにイキナリとは勝手が違うわよ」　それでも水王に抱きかかえられしがみついてしまっているあたり、怖くないといえばウソになる。　地に足がつき、結希名は水王を見る。「どうかしましたか？」「記憶、消すんでしょう？」　覚悟を決めて口にする。　二度とはない体験を忘れるのはもったいなくて、出来ることならば忘れたくはない記憶。「消しませんよ」　結希名の覚悟は意外なほどあっさりと打ち消された。「え？」「私の事を忘れさせるなんて嫌ですから。それに、妃にしたいというのも諦めてませんし」「へ？」「結希名だって異界へ行った貴重な体験、忘れたくないでしょう？」「そりゃあ……」「ですから、ようは、結希名が言いふらさなければいいんですよ」「はい？」　ポンポンと軽く言う水王に、それじゃ今までのはなんだったのかとわずかながらに混乱が生じる。「もっとも、魔法がない世界のようですし、我々の世界が理解できたとしても物語としての想像の世界のようですから、言ったところでこの世界が水界に干渉してくることはなさそうですが、そこはまぁ、念のためということで」　水王は続けた。「バレなければいいんです」　にっこりと微笑んで。「それ、もしかして……独断？」「王ですから」　水王の微笑みはもしかして無表情でウソを貫く輩よりタチが悪いのではないかと、結希名のつられ笑いがひきつった。（周りとか……苦労してるんだろうなぁ……）　水界でこの状況を見ているだろう鮎魚女の姿を想像し、結希名は同情した。<br>＜終＞<br><nextPage>もう１０年以上前の違うP.N、サークル名時に発行した同人を小説に直したものです。漫画を描き直す気力はさすがにないなーということで、過去発行したものなどをこうして新たな形にしていければな〜と思ったのがきっかけです。もともと雑記用に借りてたブログが重くて、たまにの更新に使うぐらいならいっかと小説のっけてたんですが、こういった雛型（？）がないものとは分けようかなぁと思って、せっかくサーパラ登録してんだし借りるか！とフラリと登録（笑文館は分館て意味も含めてつけとります。単純（笑<br>あと、ちと傲慢くさく見えるかもしれませんが、批評はもとめてませんので「なにこの文体」と思っても笑ってみてやってください＾＾；自キャラを動かす、自キャラを会話させるってとこに楽しみ見出してて、それでついでに読んで楽しんでもらえればーってカンジなんで…ｗとはいえ、自他ともに認める誤字脱字女王なので、そういうのは、間違ってますよーってさらりと言ってくださると助かりますが。<br>あとは広告とかうざくなってきたら、多分コメントとか予告なしに出来なくすると思います。現在借りてるブログはそれでコメ・ＴＢともにできなくしてるんで。<br>と、まぁ、雑記もだらだらつづけたところで以下、サイトでやってる小説用ブログにのっけてた水王の後書きくさいものｗ<br><br>セリフとか今見ると「うひぃぃ」な同人誌から編集してお送りしてます。当時とペンネームもサークル名も違いますがっ。名前はハンドルでビミョーに残ってますがｗ<br>よし、これで水王の続編書ける〜（マテそのうち。いつか。でもRE-EARTHの次のいったら、またしばらく書けないよなぁとか……やっぱ読む側が混乱しそうだし。この時点ではまだ水王の名前出てきてませんので、せめて出すまではみたいな。ちなみに脳内ではいきつくとこまでいきついてます。ラブラブです。頑張れ水王（ナニサイドストーリーとして鮎魚女さんの話もあるんですが、こっちはドロドロつか。前王が絡みますが、鮎魚女さんの妹（水王の母親）がサイアクつか（ぉごめん水王、きみの母親像は幻だ（どーんとかそんなカンジで。書きたいですね、いつか。<br>てか、これ３時間ぐらいで前後編書いたので誤字脱字とヘンな文あったらゴメンナサイ。寝ます。素直に寝ます（ヲイこうして睡眠時間がまたぐだぐだになるんですね……（遠い目<br><img 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