■第七話 「癒す!」
【STORY】
伝手を頼り、遊興娯楽の宿場街「癒しの里」に落ち延びたカンベエ一行。
そこにはサムライ・シチロージがいた。
カンベエの副官として数々の戦場を渡り歩いたこの男も、大戦後はサムライを辞め、料亭「蛍屋」の女将ユキノと情を交わしながら、お座敷で太鼓持ちの生活に甘んじていた。
そこに現れるカンベエ。
シチロージとユキノ、ふたりは何気ない日々の幸せに終わりが来たことを察する。
静かなるふたりの蜜月、それは夏の夜の蛍の如く。↓感想を読む↓(※ネタバレを含みます。ご了承ください)
キクチヨの献身により、なんとか逃げ延びたカンベエたちがたどり着いたのは、「癒しの里」と呼ばれる場所だった。伊豆の民宿のような呼び名だが、その実は要するにススキノのようなものらしい。
いくつも立ち並ぶ料亭のひとつでは、一人の男が大座敷で余興を行っていた。くねくねと見事な舞とともに繰り出される野球拳。BGM担当は骸骨の三味線弾きたち。なんだこの座敷。ていうか作画が普段と比べて妙に日本昔話チックなのが気になる。
野球拳をやっていた男はシチロージ。その特徴的なプロペラヘアーは、第1話でカンベエと共に戦場にいたのをだれもが覚えているだろう。どうも戦後、ずっとこの料亭で働いていたようだ。
余興だけでなく、金がなかったのかババア芸者をあてがわれてぶちきれた客を放り出したり、用心棒的なことも請け負っているらしい。店を半壊させながら迫ってくる巨漢を軽くいなすあたり、さすがはカンベエの古女房である。でもどうせなら店壊さない方向で行った方が良かったのにと思った。
一方その頃、街中を騒がしく駆け回り、追っ手と派手な立ち回りを演じている者がいた。
キクチヨだ。
・・・・・・うお―――い!!
そりゃ生きてるとは思ったけど、何このあっさりした再登場!? 前回のせつないラストを完全になかったことにしてくれよって! 感動させようとかそういう気配りが微塵もねえ! そういうとこが好きだけどなキクチヨ!!
そうとは知らぬカンベエたちはシチロージと再会し、彼の情人・ユキノの計らいもあって料亭にかくまってもらえることになった。豪華な夕食をいただきながら、昔話などに興じる。この座敷での会話と、その後のカンベエとシチロージの二人語りの中で、傷を負い川を流れてきたシチロージを助けてからのユキノと彼の絆が垣間見え、そして誰も何も言わないにも関わらず彼らの別れが近づいたことがじんわりと感じられた。味わい深いシーンである。
ちょうどその時、キクチヨは先ほど放り出されたサムライと同じく、狭い座敷でババア芸者の接待を受けていたのだった。カンベエらの座敷の豪華さと、彼の居住まいのわびしさの対比が美しい。こいつどこまで美味しいキャラなんだ。
そしてここでお待ちかね、キララとユキノの入浴シーンである。といっても、不自然なほど立ち込めた湯気でほとんど何も見えないのだが。
キララとカツシロウがお似合いだというユキノに対し、顔色ひとつ変えずバッサリ否定するキララ。さすがは親父スキー。そして可哀想なカツの字。
が、そんなまったりと艶っぽい入浴タイムに不穏な気配が差し込む。窓から外をうかがってみれば、ウキョウとその一行の姿が。残念ながら入浴タイムも癒しの里でのリラックスタイムも終了である。個人的には、風呂上りに見られるはずだったメイクアップキララが見られなかったことが残念でならない。
その時、寝室で休んでいた一行のところへ、例によってキクチヨが敵さんご一行のオプションつきで大乱入。「無事で良かった」とか言う以前に「またお前か」的な表情がみなの顔に浮かんだのが趣深い。
ともあれ無事に合流を果たしたわけだが、まずは追っ手をまかなくてはどうにもならない。室内だということを無視したゴロベエの火炎放射、そしてシチロージの秘技・畳返しが炸裂する。なんだか忍者ハットリくんみたいな微妙な戦法だが、敵さんがもたもたしてくれておかげもあってなんとかこの場は逃げおおせることが出来た。
全て承知で、地下水路に船を用意していてくれたユキノ。やはりかつての仲間と共に行ってしまうシチロージを潔く見送る。しかし、船が離れようという時、眼に涙をためて彼女は言った。
「あんたなんか野伏せりにやられちまえばいいんだ」
いやあ粋だ。泣ける。そんないい雰囲気の中、キクチヨの「そいつ桃太郎って言うのかア」という頭悪いセリフがまた泣ける。
いつの日か、シチロージが無事に彼女の元へ戻ってくる日が訪れると良い、そう素直に思えるいい話だった。