それはあたしにとって、目標の一つ。
持てる技術と経験の全てを、あの人は惜しむこと無く託してくれて。その気持ちに、思いに応えるべく、あたしは今も訓練を怠らない。
集束系魔法の集大成。
高町なのは教導官の切り札。
星の輝き、スターライト・ブレイカー。
勿論、凡人のあたしがすぐに会得できる魔法ではないし、なのはさんみたいに扱え無いことも解ってはいる。だけど、それでも……。
「スターライト・ブレイカァ――――!!」
ミッドチルダの空に、あたしの叫びが木霊する。
クロスミラージュから撃ち出された魔力は集束すること無く、拡散し、散っていく。
――まだまだ、か。
正直、なのはさんの魔法であるスターライトブレイカーの名を借りて撃つのは気が引けるのだが、他に良い魔法名が浮かばないのだから仕方無い。それに、まだまだ自分のスターライトブレイカーはなのはさんの模写でしかない。
威力もそこそこ、集束なんて持っての外だ。今のように、どうしても集めた魔力は集束せず、好き勝手に拡散してしまう。
「何が、足りないんだろう」
ぼやくのはダメだと頭では理解っているのだが、どうしても口から突いて出てしまう。ヴァイスさんが聞いたら何か色々言ってきそうではあるが。
あたしはもう一度クロスミラージュを構える。集束系の魔法は術者のみならず、デバイス自身にもかなりの負担を与えてしまう。なのはさんとレイジングハートでさえ、J・S事件ではかなりの深手を負った。
だから少し心配になり、クロスミラージュに訊ねてみた。
「少し……休もうか?」
すると、クラスミラージュの丸い宝石部分が力強く輝いた。
『いえ、まだやれます。続けましょう、マスター』
「解ったわ」
流石は頼りになるあたしのパートナーだと思った。執務官になり、モード三を解除してからも変わらずに一緒にいてくれる。
あたしはもう一度クロスミラージュを構える。
集中しろ。
周りの微量な魔力を感じ取れ。
イメージしろ。
魔力が一点に、一箇所に集まる様を。
恐れるな。
信じろ。
自分と、自分を信じてくれるパートナーを。
「全力! 全開!!」
足を大きく広げ、虚空の空に向かって、あたしは力の限り叫んで引き金を引いた。
「スタァーライトォォ……ブレイカァァ―――――!!!」
◆ ◆ ◆
どさっとあたしは部屋のベッドにうつ伏せに倒れこむ。結局あの後、スターライトブレイカーを連発した反動で体中が痛い。一度も成功しなかったのも痛い。ベッドの下布団に左頬を付けながら、あたしは考え続ける。
何がいけないのだろう。
どこが違うのだろう。
あたしは、なのはさんのようにはなれないのだろうか。
執務官の仕事にしてもそうだ。
あたしは、フェイトさんのように上手くやれていない。
「って、ダメダメ。何ネガティブになってるのよあたし!」
いけない。つい悪い癖が始まる所だった。この癖の所為で執務官試験に何度落ちたと思っているんだ。しっかりしろ、ティアナ・ランスター。
その時、管理局から通信が入った。あたしはベッドから起き上がり、通信に出る。
「あ、ティアナ? 元気にしてた?」
「へっ?」
そこにいたのはフェイトさんだった。あたしは突然のことだったので思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。てか、どうして貴女が?
「ふふっ、驚いたかな? 丁度仕事が一段落ついたからちょっと後輩の顔でも……と思ってね。何か悩んでいるみたいだし」
「……はい」
誤魔化す必要は無いと思い、正直に頷いた。だって今のあたしの顔は「悩んでます」って顔をしているだろうから。フェイトさんは「やっぱり」とちょっとだけ苦笑する。
「どんな悩みかな? 私でよければ相談に乗るけど」
「実は……」
そしてあたしはこれまでのことを打ち明けた。
なのはさんに教えられた魔法、集束系がどうしても上手く出来無いこと。
フェイトさんのように、執務官の仕事も上手く出来ていないこと。
気づけばまるで愚痴のように、あたしはフェイトさんに全てをぶちまけていた。
それでも彼女は厭な顔一つすることなく、真剣な顔であたしの話を聞いてくれる。
そしてひとしきり言い終わった後、フェイトさんが口を開いた。
「そっか。ティアナも私と同じように悩んでいたんだね」
「ふぇ、フェイトさんが?」
「どうして驚くのかな。私だって悩む時ぐらいあるよ」
困ったような顔をされても。けど、確かにそうだろう。フェイトさんだって人間だ。悩む時もある。ただ、中々想像し辛いだけで。
「うん、なのはの魔法に関してだけど……ティアナはなのはになりたいのかな?」
「え?」
なのはさんの、ように?
「ティアナはティアナ、なのははなのは、だよ。比べちゃいけないし、比べられるものでもない。確かにスターライトブレイカーはなのはの魔法だけどそれをティアナが使う以上はなのはの使う力とは違う、ティアナ個人の魔法として使えば良いんだよ。なのはの魔法だからとか、なのはのように、って考えちゃうから失敗するんじゃないかな。ティアナはティアナのままで良いんだよ」
「あたしは……あたし」
「うん。それと執務官の仕事にしても私は上手くやれていると思うよ」
そんなこと、と言おうとしたが口に出ない。いや、出せなかった。ここで否定したらフェイトさんに失礼な気がしたから。だからその言葉を飲み込んで、違う言葉を出す。
「ありがとうございます」
そしてフェイトさんと小一時間程仕事の話や雑談を交え、通信を終了した。
いつの間にか、悩みや憂いは吹っ飛んでいた。
あたしはあたしのままで……か。
ベッドに仰向けに寝転がりながら、拳を上に突き出す。
あたしを信じてくれるフェイトさんの為に。そして、あたしに持てる技術の全てを託してくれたなのはさんの為に。少しでも一歩、近づけるように。
持てる技術と経験の全てを、あの人は惜しむこと無く託してくれて。その気持ちに、思いに応えるべく、あたしは今も訓練を怠らない。
集束系魔法の集大成。
高町なのは教導官の切り札。
星の輝き、スターライト・ブレイカー。
勿論、凡人のあたしがすぐに会得できる魔法ではないし、なのはさんみたいに扱え無いことも解ってはいる。だけど、それでも……。
「スターライト・ブレイカァ――――!!」
ミッドチルダの空に、あたしの叫びが木霊する。
クロスミラージュから撃ち出された魔力は集束すること無く、拡散し、散っていく。
――まだまだ、か。
正直、なのはさんの魔法であるスターライトブレイカーの名を借りて撃つのは気が引けるのだが、他に良い魔法名が浮かばないのだから仕方無い。それに、まだまだ自分のスターライトブレイカーはなのはさんの模写でしかない。
威力もそこそこ、集束なんて持っての外だ。今のように、どうしても集めた魔力は集束せず、好き勝手に拡散してしまう。
「何が、足りないんだろう」
ぼやくのはダメだと頭では理解っているのだが、どうしても口から突いて出てしまう。ヴァイスさんが聞いたら何か色々言ってきそうではあるが。
あたしはもう一度クロスミラージュを構える。集束系の魔法は術者のみならず、デバイス自身にもかなりの負担を与えてしまう。なのはさんとレイジングハートでさえ、J・S事件ではかなりの深手を負った。
だから少し心配になり、クロスミラージュに訊ねてみた。
「少し……休もうか?」
すると、クラスミラージュの丸い宝石部分が力強く輝いた。
『いえ、まだやれます。続けましょう、マスター』
「解ったわ」
流石は頼りになるあたしのパートナーだと思った。執務官になり、モード三を解除してからも変わらずに一緒にいてくれる。
あたしはもう一度クロスミラージュを構える。
集中しろ。
周りの微量な魔力を感じ取れ。
イメージしろ。
魔力が一点に、一箇所に集まる様を。
恐れるな。
信じろ。
自分と、自分を信じてくれるパートナーを。
「全力! 全開!!」
足を大きく広げ、虚空の空に向かって、あたしは力の限り叫んで引き金を引いた。
「スタァーライトォォ……ブレイカァァ―――――!!!」
◆ ◆ ◆
どさっとあたしは部屋のベッドにうつ伏せに倒れこむ。結局あの後、スターライトブレイカーを連発した反動で体中が痛い。一度も成功しなかったのも痛い。ベッドの下布団に左頬を付けながら、あたしは考え続ける。
何がいけないのだろう。
どこが違うのだろう。
あたしは、なのはさんのようにはなれないのだろうか。
執務官の仕事にしてもそうだ。
あたしは、フェイトさんのように上手くやれていない。
「って、ダメダメ。何ネガティブになってるのよあたし!」
いけない。つい悪い癖が始まる所だった。この癖の所為で執務官試験に何度落ちたと思っているんだ。しっかりしろ、ティアナ・ランスター。
その時、管理局から通信が入った。あたしはベッドから起き上がり、通信に出る。
「あ、ティアナ? 元気にしてた?」
「へっ?」
そこにいたのはフェイトさんだった。あたしは突然のことだったので思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。てか、どうして貴女が?
「ふふっ、驚いたかな? 丁度仕事が一段落ついたからちょっと後輩の顔でも……と思ってね。何か悩んでいるみたいだし」
「……はい」
誤魔化す必要は無いと思い、正直に頷いた。だって今のあたしの顔は「悩んでます」って顔をしているだろうから。フェイトさんは「やっぱり」とちょっとだけ苦笑する。
「どんな悩みかな? 私でよければ相談に乗るけど」
「実は……」
そしてあたしはこれまでのことを打ち明けた。
なのはさんに教えられた魔法、集束系がどうしても上手く出来無いこと。
フェイトさんのように、執務官の仕事も上手く出来ていないこと。
気づけばまるで愚痴のように、あたしはフェイトさんに全てをぶちまけていた。
それでも彼女は厭な顔一つすることなく、真剣な顔であたしの話を聞いてくれる。
そしてひとしきり言い終わった後、フェイトさんが口を開いた。
「そっか。ティアナも私と同じように悩んでいたんだね」
「ふぇ、フェイトさんが?」
「どうして驚くのかな。私だって悩む時ぐらいあるよ」
困ったような顔をされても。けど、確かにそうだろう。フェイトさんだって人間だ。悩む時もある。ただ、中々想像し辛いだけで。
「うん、なのはの魔法に関してだけど……ティアナはなのはになりたいのかな?」
「え?」
なのはさんの、ように?
「ティアナはティアナ、なのははなのは、だよ。比べちゃいけないし、比べられるものでもない。確かにスターライトブレイカーはなのはの魔法だけどそれをティアナが使う以上はなのはの使う力とは違う、ティアナ個人の魔法として使えば良いんだよ。なのはの魔法だからとか、なのはのように、って考えちゃうから失敗するんじゃないかな。ティアナはティアナのままで良いんだよ」
「あたしは……あたし」
「うん。それと執務官の仕事にしても私は上手くやれていると思うよ」
そんなこと、と言おうとしたが口に出ない。いや、出せなかった。ここで否定したらフェイトさんに失礼な気がしたから。だからその言葉を飲み込んで、違う言葉を出す。
「ありがとうございます」
そしてフェイトさんと小一時間程仕事の話や雑談を交え、通信を終了した。
いつの間にか、悩みや憂いは吹っ飛んでいた。
あたしはあたしのままで……か。
ベッドに仰向けに寝転がりながら、拳を上に突き出す。
あたしを信じてくれるフェイトさんの為に。そして、あたしに持てる技術の全てを託してくれたなのはさんの為に。少しでも一歩、近づけるように。
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