2007年08月23日 @ 06:54AM
続きでーす。そろそろ終わりが見えてきました。


「衣装は決まった。次はマスコットだな」
「クドのマスコットがたぬきだから……やっぱ、きつね?」
 僕がそう言うと、恭介は首を横に振った。
「いや。エイリアンだ」
「なんでさ!?」
 たぬきのライバルがエイリアン……。ありえない。普通にありえないから!
「そのありえなさが良いんじゃないか。ウケるぜーきっと」
 そんなきらきら目で言わなくても。と言うか、誰を笑わせるつもりなんだろうか。
「来ヶ谷さんも何か言ってよ!」
「私か? 別にエイリアンでもジョーでもなんでも良いと思うぞ」
 この人に頼んだのが間違いだったことに今気づいた!
「まぁそれは冗談としてだ。恭介氏」
「なんだ?」
「結果的に決めるのは、小毬君だと思うのだが」
 そうだ。僕達がどうこう言うより、小毬さんに決めてもらった方が早い。
 視線を小毬さんに移すと、彼女は一個のぬいぐるみをとても大事そうに両手で持ち、じーっと凝視していた。
「小毬、そのぬいぐるみ……気に入ったのか?」
 しかし小毬さんはぬいぐるみから視線を外さない。恭介の言葉も届いていないみたいだ。
 目の前でぶんぶんと彼女とぬいぐるみの間で手を振ってみる。が、反応無し。
「小毬さん、小毬さーん!」
「……ほわぁ!? え、り、理樹くんか〜。びっくりしたよ〜〜」
 耳元で大声で叫ぶと、ようやく気づいてくれた。
「いやまぁ。すっごく夢中で見てたから」
 小毬さんが抱えているのは、ぺんぎんのぬいぐるみだった。
 まんまるな体に白いお腹。楕円形の黄色いくちばしに円らな黒い瞳。
「よし、小毬のマスコットはそのペンギンに決まりだな」
 なんとも、小毬さんらしいマスコットだと思った。
「それで、このペンギンにも何か細工するの?」
「当然だ。小毬、ちょっとそのペンギンを貸してくれるか」
「ふえ? どーするの?」
 小毬さんが小首を傾げる。
「昨日作ったタヌキと同じ仕掛けをする。中にイヤホンを埋め込み、傍から見ると喋っているように思わせるんだ。ま、小毬はタネが解っているが、それでもなんとなく面白いだろう?」
「ダメです」
 しかし、きっぱりとした口調で拒否を示した。
「いや、しかし……」
「ペンギンさんに穴を空けるなんて、許しません」
「いや、すぐに塞げば大丈夫だ。タヌキの時は反対しなかったじゃないか」
「それでもダメです!」
 小毬さんにしてはものすごい頑固だった。
「……解った。じゃあペンギンはそのままにしておこう」
 あの恭介が折れた!
「理樹、俺はいつだって完璧なわけじゃないんだぜ……」
 そう言って背中を向ける恭介。もしかして、泣いているんだろうか。
 と言うか、そんなに改造したかったのか、あのペンギンを。


 それから暫くして。
 ふと、来ヶ谷さんが思い出したように口を開いた。
「そう言えば恭介氏」
「ん、なんだ?」
 僕のベッドに腰掛けて漫画を読んでいた恭介が、来ヶ谷さんの方を向く。
 彼女は僕の椅子に足を組んで座っている。
「杖はどうなったのだ? まだ見せてもらっていないが」
 その言葉に僕を含め、他の面々も思い出したように顔を上げ、恭介の方を見た。
「ああ、忘れてた」
 瞬間、全員が一斉にコケた。
「お前、だからなんでそう何か一つ忘れるんだよ……」
「アホだな」
 真人と謙吾が容赦なくツッコむ。
「安心しろ。別に出来てないとは言ってない。ちょっと待ってろ」
 そう言うと恭介は部屋から出て行った。

 それから数分後、再び恭介が戻ってきた。
 手には布で包まれた細長い何かを持っている。
「お、これがそうなのか」
 真人が興味津々な顔をする。それは他のみんなも同じで、勿論僕もだった。
「これが……まほーのつえ、なのか?」
「そうだ」
 鈴の問いに恭介が応える。
 そして包んである布をゆっくりと解く。中から現れたのは……。

 バールだった。

「いやいやいやいや! なんで、なんでバールなの!?」
「そっちの方が面白そうだからさ!」
 バールで戦う魔法少女なんて聞いたことないよ!?
「って言うか、クド公には重すぎやしませんかね? これ、私が持つだけでもきついですヨ」
 葉留佳さんがバールを持つが、確かにちょっと重いのか、両腕が震えている。
「安心しろ三枝。能美用に軽いバールを用意するつもりだ。これは言わばサンプルだな」
「あーなるほどー。それならクド公も安心っすねー」
 そのままバールを手から離した――途端、真人の足にヒットする。
「いでぇええええ!?」
「あやや、真人くんごめんねー」
 足を抑えて転げまわる真人に対し、あんまり悪びれた様子もなく、葉留佳さんが謝った。
「しかしバールか。恭介氏もなかなか面白いチョイスをするな」
「そうだろう」
「うむ」
 互いに笑いあう二人。なんて言うか、気が合うよね、この二人。
 ふと、西園さんの方を見る。
 彼女は窓を背凭れにして座り、本を読んでいた。
 タイトルを覗き見る。
『魔法少女リリカル○○○』
 なんだろう。タイトルは口に出しちゃいけないような気がした。
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2007年08月19日 @ 07:30PM
リトバスにはまって衝動的に書いたSS。まだ完成ではないですが、出来ている分まで公開します。結構長いです。テキスト容量は現在18.4KB。普通に20KBは超えそうです。
お話は魔法少女になりたいと願うクドのためにリトルバスターズががんばると言うお話。クドが主役のはずなのに、出番少ないです、しょんぼり。
ではでは始まります。次のページをクリックすると、ページが切り替わります。


リトルバスターズ!外伝「魔法少女クドリャフカ」


「リキ〜。ちょっといいですかー?」
 2時間目終了後の休み時間。真人と談笑していた僕の机の側までクドがやってきて開口一番そう尋ねる。
 能美クドリャフカ。名前の通り外国人と日本人のクオーターで、ナリはちっちゃいが、同じクラスの女の子だ。
 僕が「何?」と問い返すと、クドは何やら真剣な眼差しで見つめて言った。
「魔法少女って、どうすればなれるんでしょうか?」
「へ?」
 そう反応したのは真人だった。口をぽかんと開け、目をぱちくりさせている。
 僕はと言えばやはり真人と同じ反応で、どう返して良いのか解らない。
「あの、なんだって?」
 取り敢えず聞き返す。
「魔法少女って、どうすればなれるんでしょうか?」
 さっきと一字一句まったく違(たが)わない応えが返ってきた。
「おい、クー公よ……」
「なんですか、井ノ原さん?」
「お前、魔法少女ってのが何なのか知っているのか?」
「えっと、テレビで見た程度で……詳しくは知らないのです」
 クドがちょっと恥ずかしそうに両手の人差し指を胸の辺りでつんつんさせながら言う。
「そうか、知らないのか」
「井ノ原さんは知っているのですか?」
「オレも知らん!」
 凄く自信たっぷりに言った!
「なぁ理樹、魔法少女ってオレでもなれるか?」
「取り敢えず性転換する度胸があるならなれるかもね……」
 苦笑交じりに言った。否、笑っているのかどうかも解らないが。
「それで、リキは知らないですか? 魔法少女になる方法」
 さて、どうしたものか。
 恐らくテレビか漫画か何かで魔法少女モノのアニメでも見たのだろう。
 それに影響されるのは恭介に似ているというか、なんて云うか。
「うーん僕もあんまり詳しくは。恭介なら知ってるかも」
「きょーすけさんですかー」
「ああ、確かにあいつなら知ってそうだな。その手の漫画も読んでるかも知れねぇし」
「ああ、当然読んでいるし、知っているとも」
 噂をすればなんとやら。或いは出てくるタイミングを見計らっているのか。
 教室の窓からやってきた恭介はすたっと教室に着地すると、クドの前に立つ。
「能美、魔法少女になりたいか!」
 右腕をクドの真正面に向け、手をパーのように広げて叫ぶ。
「はい!」
 ぐっと胸元で拳を作って元気良く頷く。
「ニューヨークにいきたいか!」
「どっちかというと京都にいきたいです!」
「……じゃあな」
 恭介が再び窓から去ろうとする。
「ちょ、ちょ、ちょっと恭介待ってよ!?」
「冗談だ。能美、魔法少女になりたいのか」
「はい、なりたいです」
 恭介の問いに、真剣に答えるクド。
「よし、今から魔法少女になるためのいくつかの条件を言おう。それさえクリア出来れば、立派な魔法使いだ!」
「よ、よろしくおねがいします!」
「まず一つ、魔法が使えること」
 一つ目の時点でアウトだった!
「いや、いくらなんでもそれはさすがに無理と思うんだけど……」
「ああ、オレでもそれは無理だと思うぞ。魔法なんてこの世にあるわけねーし」
 しかし恭介は何故か不敵な笑みを浮かべている。
 そうだ、恭介のことだからきっと何か意味があるに違い無い。
「そうだな、無理だな」
 さわやかな顔で肯定した!!
「わふ〜、無理なのですか〜?」
 ちょっとしょぼんとした表情でクドが呟く。
 確かに魔法少女ってのは無理があるかも知れない。けれど、クドの寂しそうな顔は見たくないし、なんとかしないと……と思った。
「ふむ、だったら魔法以外の部分で魔法少女になりきれば良いんじゃないか?」
 いつのまにいたのか。来ヶ谷さんがクドの背後に立ってそう提案してきた。
「聞いてたの?」
「ああ、実に興味深そうな会話をしていたのでな」
 目を伏せ、窓のサッシのところに腰を降ろし、足を組みながら言う。
「確かに魔法はこの現実世界においては不可能に近い領域だ。そこの所はクドリャフカ君も理解はしているだろう?」
「は、はいです」
「だったら、それ以外のところで魔法少女をすれば良い。衣装、マスコット、杖。それさえあれば誰でも立派な魔法使いだ」
 それって、単なるコスプレなんじゃ?
「魔法少女だって、魔法が使えるだけでただの人間と変わらんよ。魔法が使えようが使えまいが、魔法少女の格好をしていれば魔法少女だ」
 それに、と来ヶ谷さんは付け足した。
「最近の魔法少女は町一つ破壊できそうな勢いのが多いがな」
 いや、さすがにそれは無いだろうと思った。
「なるほど……流石は来ヶ谷だな」
 恭介は何度も頷いてえらく感心している。
「へ! 行き詰まったクドの願いを見事に叶える、流石は来ヶ谷だぜ。そこに痺れる、憧れる!!」
「筋肉バカに憧れられても気色悪いだけだ。弁えろ」
「うおおおおおおおおおお――――!!!」
 真人が頭を抱えて叫びだした。
「まぁそれは良いとしてだ」
「よくねぇよ!!」
「なんだ?」
 来ヶ谷さんの眼光が真人を射貫く。
「いえ、なんでもないっす」
 弱っ!!
「ふむ。やはり魔法少女に必要なマスコット、衣装、杖の三種の神器がいるな。衣装は私が用意しよう。マスコットと杖は……」
「ああ、マスコットと杖なら俺が」
 挙手しながら恭介が名乗り出た。
「助かる。そうだな……3日あれば大丈夫だろう。それでいいか、クドリャフカ君?」
 来ヶ谷さんがクドの方を向いた。
 クドはなんだかおろおろしていて、「あのその」をしきりに繰り返している。
「どうしたのかね、クドリャフカ君?」
「あの、そこまでして頂かなくても……。ご迷惑ですし」
 指をもじもじさせながら、クドが申し訳なさそうな顔で言う。
 来ヶ谷さんはクドの頭に手を乗せて微笑んだ。
「クドリャフカ君は心配しなくて良い。別に迷惑だなんて思ってないからな」
 と、僕の方を見て片目を一瞬だけ閉じる。
 それが「同意しろ」との意思表示だと気づいた。
「うん、そうだよ。クド、魔法少女になりたいんでしょう。だったら叶えてあげたいんだ」
「それに能美は我がリトルバスターズのメンバーだからな」
「へ、そう言うこった!」
「皆さん……ありがとです〜!」
 クドは何度も何度も、僕たちに向かってぺこぺこと頭を下げる。
 その後チャイムが鳴り先生が来たため、この話は昼休みで改めてと言うことになった。

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