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光・・・ 墜ちていく暗闇に強烈にさす白い光。あたたかい風。 一度みつけてしまったら、それ無しでは息をすることさえ出来ない。 自分勝手だと思われてもいい。 天が墜ちようが、大地が裂けようが、世界が滅びようがかまわない。 もうすぐ「チョコっと大作戦!」というバレンタインお助け企画の仕事も終わる。 みな、「バレンタイン」をきっかけに幸せになれただろうか。 フラフラする日課(散歩)を終え、ぐったりと疲れたマシロは重い足を引きずりながら 寮へと歩いていた。 こんなに憔悴してるのは、授業でハナヤマセンセに怒られたわけでもなく タダの空腹らしい。 先日の新商品発売に所持金を散財し、お昼にパンを買うお金さえ残っていない。 ぐぐぐううう〜〜〜きゅるるるっ 「ああ、ベリ−の煎れた紅茶が飲みたい」 せめて水分でお腹を満たそう・・・と顔を上げると、知り合いと出会った。 「おお−っマシロ。元気か−」 獣人(キャニリオン)の彼は、くりんっとしたシッポを揺らし耳をピコピコさせた。 人懐こい明るい笑顔は、陽の光か向日葵を思わせる。 ふと、目を細めた。 「こんにちは。リョクくん。」 彼の笑顔はキラキラとかがやくものがある。 まるで、ひとつの旋律のようにも感じるときがある。 彼の奏でるのは、善意や悪意、ましてや計算などではなく、ただあるがまま音を響かせる・・・ 自然のそよ風のようだ。 思考の淵に沈んでいた背中をバッシンバッシン叩かれ、口から魂が抜けそうになる。 「ハラでも減ってんのか−?これやるから元気出せ−。」 常備しているのか「うるめいわし」の煮干しを一掴み持たせると、 手をブンブン振りながら鼻歌まじりで走り去って行った。 (お腹の足しになるよ・・・) しばし、後ろ姿を見送ってから、建物の中にきびすを返したとき、 左後方の木の陰に人が見えた気がして立ち止まる。 (あれは・・・) 「・・・・・片恋だな」 いつのまにか、足下にクマのチョコが立っていた。 お友達のところにでも遊びに行ってきたんだろうか。 どこで貰ってきたか、チョコ菓子の袋にガサッと手を入れている。 いつも食べているものは、いったいどこに消えているんだろうか。 「どうやら、さっきのワンコにいちゃんをみていたようだな。」 言われて、さりげなく目をやれば、なるほど・・・ 少女が熱い眼差しで去っていくリョクホウの後ろ姿を見つめている。 きれいな色の髪をした、華奢な少女だ。 まるで静かな湖面をうつしとったかのような容姿は、水の精霊かのごとく儚く美しい。 清麗な容姿と情熱の瞳・・・ その対照的なコントラストが印象的だった。 (あのようすでは、リョクくんの方はまったく気付いていないに違いない) 「恋・・・か。」 「恋」をするのは何もバレンタインとは限らない。 マシロは絵物語を見ているような、どこか遠い目で呟いてみた。 それは、自分(心)を安定させるものだが、その反対の状態にも簡単に陥らせる。 知らずうちに魂さえ、目に見えない何かに委ねている。 そしていずれ・・・ 「マシロ!!」 聞き覚えのある声にハっと我に返る。 ホ−ルの階段を滑り台にして同じくクマの住人カルアが駈けてくる。 「ベリ−とバニラが!」 ・・・また何かやったな・・・ ひとつ、ため息をついて自室への一歩を踏み出した。 あの夜、どうしても泣くのをこらえきれなかったように、どんなに抑えてもこみあげてくるもの。 音もなく、ふいにどこからか溢れ出してくるもの。 気配もなく忍び寄り、棘の蔦でがんじがらめにしてしまうもの。 すべての人がしあわせになれたら・・・ そんなのはあり得ないと思いつつ、祈らずにはいられない。 「恋」を知って、人は何を学ぶ? 自分は「こころの闇」を知り、自分と闘うことを知った。 良いのか悪いのか、いまだに分からないが・・・ もっと強くなりたい。 心から笑って、あなたと向き合えるようになるために。 2008.02.28 |




