2008年05月16日 @ 02:00AM
※ネタバレちらりと有り。ちなみに啓寿です。

























幼い頃から、俺は孤立していた。
人と一緒に戯れるより一人でいる方が楽しかったからだ。


人に合わせ、笑い、会話する。


その疲れる行為を何故人間は当たり前のようにするのだろう。
俺には理解不能だった。


そんなある日、1羽のウサギを飼う事になった。
俺はその子を「ヴァイス」と名付けた。

大切に育てた。
大切に大切に、色んなウサギの飼い方の本をみながら、俺は沢山の愛情をヴァイスに注いだ。

人間は嫌いだが動物は好きだった。
姉達は「伯父みたいだわ」といっていた。
確かに伯父も人間嫌いで動物好きだった。

しかし、俺はそれでも気にしなかった。
伯父と似ていると言われても、周りから変人扱いされても、俺は、人間以上に、この子を・・・ヴァイスを愛していた。

動物は人間よりも心が綺麗だった。
疑う事も知らず、ただ本能に活動する何も知らない純真無垢な存在。


俺はヴァイスと同化なれる気がした。
心も体も裸になれば、ヴァイスと同じになれると思ったからだ。
俺は着ていたものを全て脱いでその小さなヴァイスの体を包み込むように抱きしめた。
とても、心地よかった。


しかし


少し目を離した隙にヴァイスが部屋の中にいなくなっていた。
きっと姉さん達だ。
確信はあった。
姉さんは俺が裸でヴァイスを抱きしめたとこをみていた。そしてそれを異常だと思って俺の手からヴァイスを離した。


急に体中の血液が逆流していくのを感じた。

「うわぁああああ!」
「!啓寿っ」

突然の叫び声に姉達が部屋に入ってきた。
その時の俺は錯乱状態といっていい。
頭の中はいなくなったヴァイスの事で一杯だった。

「ヴァイスを返して!!俺のヴァイスを返して」
「啓寿、落ち着きなさい」
「ヴァイスをどこにやった。探さないと、ヴァイスを探さないと・・・」
「啓寿・・・あのね、突然驚くかもしれないけど、ヴァイス・・・死んじゃったの」
「嘘だ」
「嘘じゃないわ。ウサギってね、ストレスが溜まりやすい繊細な生き物なの。もしかしたら同じ部屋にずっといたのが原因かもね」

少しからかい口調でいう姉に唇を噛み締める。

「とにかく、夕飯の準備できたみたいだから、食べましょう」

納得いかないまま俺は家族と夕飯をとった。
椅子に腰かけ、出されたシチューを無感情のままもくもくと手を動かし、スプーンですくったものを口の中に入れた。

食べながら思っていた事は一つ。


―ヴァイスは今どこにいるんだ・・・―


「ごちそうさま」
「あらもういいの?」

一人の姉がわざとらしく言う。
シチューを全部食べたのをみるともう一人の姉がくすっと笑って残酷にいった。

「このシチューのお肉ね、あんたが飼ってたウサギだよ」
「え?」
「だから、そのお肉、啓寿が大事に飼ってたウサギだよって言ったの」
「・・・」
「だって、ただ死んだ後土に埋めるより、料理にして食べた方がウサギも幸せだと思わない?」
「ぅっつ・・・・・・ぐ、・・・ぅえ!!!」

胃に入った肉をどうにか戻そうとした。
無理矢理指を喉の奥に突っ込んで吐き出そうとした。
そのくらいショックだったのだ。
姉達の言葉に・・・そしてそれを食した自分に・・・・・・

しかしそれが嘘だったと気付いたのはすぐだった。
思えば姉達は昔から俺をからかって遊んでいた。俺は無視してきた。勝手にからかっていればいい。悪戯したければすればいい。
ただ俺はされても何も反応しなかった。
それが姉達はつまらなかったのだろう。

だからもっとも俺が反応するもので姉達は悪戯したんだ。
それが最も不愉快で最もトラウマを与えるものだとも知らずに・・・
これほどまでに姉達を恨んだ事はない。
血をわけていなかったら復讐していたに違いない。


ヴァイスは無事だった。
しかし、連れ戻そうとはしなかった。
一度離れていったものを取り返そうとは思わなかった。

動物だけじゃダメなのかもしれない。動物は言葉を発しない。
同じものを分かち合えない。
かといって純真無垢な・・・ウサギみたいな人間がいる筈もない。
それでももしかしたらと淡い期待を膨らませた俺は、それらしい女と付き合った。
しかし長くは続かない。家にいれても一度きり。

彼女達は確かに一見ウサギのような純真な人間だった。
化けの皮が剥がれるまで・・・


女は色んな女を演じる事が出来る。
俺はそれを知っていた筈だ。女がどんなに醜い存在なのか姉達をみていてわかっていたはずだったのに。


純真無垢な存在。・・・・・・そんな人間はいるのだろうか。

「おっはよ〜!!」
「っ」
「?あれ聞こえなかった?櫻井、おはよ」
「・・・あ、あぁ・・・おはよう」
「櫻井、いつもぼーとしてるよな。あはは」

今までクラスの奴は全員クズでゴミのような存在だと思っていた。
しかし、一人だけ例外がいた。

「藍川・・・」
「ん?何」
「いや、なんでもない」

ころころと替わる表情に胸を打たれる。
真っ直ぐで純粋で単純で明るい・・・・・・俺の理想としていたもの。


だが相手は男だ。例え単純な思考回路を持っていたとしても俺の手に落ちる確率は低い。
自信がなかった。
藍川が俺の探し求めていたものだとしても性別が男。
それに今まで男に手を出していない為もあってか、行動するのに少々躊躇う。

「・・・」

折角みつけた純真無垢な存在をこのまま諦めるのか。
きっとこの先藍川以上の人間はいないだろう。

性別という壁が重く襲い掛かる。

しかし、天は俺に味方をした。いや、チャンスを与えたといっていい。
俺は神は信じない。けど、この時だけ俺は神を信じた。



藍川と廣瀬が付き合っている。



それが真か偽かわからない。
だが、これで藍川に近づけるようになる。

藍川は単純だ。そして流れやすくもある。
言葉巧みにいい人を演じて、懐かせれば、きっと藍川から俺を好きになる。側にいる事を選ぶ。








兄の支配から廣瀬の支配へ・・・・・・
























そして最後に行き着く先は―――・・・・・・
























「藍川、近いうちお前の支配者は変わる」























その新しい支配者はお前の事を可愛がってくれる。
大事に大事に、愛してくれる。

部屋から一歩も出さないで、まるで鳥篭に入れられた小鳥みたいで。
でも閉じ込められているのは幸せな事なんだ。
飼われている生き物は外に出ると危険で何が襲ってくるかわからない。

だから閉じ込めておくんだよ。



藍川・・・・・・誰もお前を傷つけさせやしない。



俺が、どんな時でもお前を守ってやるからな・・・・・・・・・藍川。



≪END≫







小説
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2008年05月01日 @ 07:56PM

銀のエクリプス・公式サイト

応援バナー貼りました。
銀エク、楽しみです!!
アーヤやロドニー、カルム、そして新キャラが特に気になります。

リーウェンの声優さん知らないので、男性なのか女性なのかわかりません(涙)
出来れば男性だと嬉しい・・・・・・、見た目女で声も女だと・・・なんか、ね(汗)

でも何故声優変えたのだろう。鉄仮面が何故か違うキャラの声担当だしWw

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