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目覚めが良かった。俺にとっては年に一度、あるか無いかぐらいの目覚めの良い朝だった。 そのうえ運も良い。カーテンを開ければ外はいい天気だし、フレンチトーストもハムエッグも綺麗に焼けて、コープのクーポン付き新聞広告も二枚入っている。 食後のコーヒーも、コーヒーメーカーが入れた割りには思わず呟くほど旨かった。とてもスーパーで買った一番安かったブレンドとは思えないほどに。 「…降水確率は、午前後後を通してゼロパーセント。最高気温も昨日と比べ五度から七度は高く、久しぶりに重いコートから解放されそうです…」 無意味な微笑みを張り付けたリポーターが伝える。「うぇざーりぽーと」も、楽しそうな今日を予言している。 さて、と… 一時限目のドイツ語と二時限目の商法総論。辞書やら資料やら重いテキストが多い講義の準備をしていると、改めて思い立つことがあった。 今日は気持ちのいい日だ。 付けっぱなしのテレビのなかでは、相変わらずの笑顔を振りまいて、リポーターが好天を強調している。財布のなかにはおととい入ったばかりのバイト代がある。多少の贅沢には耐えられるだろう。 気がつくと一人頷いていた。 デイパックをひっくり返す。独和辞典や六法全書をほっぽりだして、改めて外出準備。 読みかけの文庫本に、買ってから一度もCDを換えたことのないディスクマン。とりあえずこのふたつをデイパックに突っ込む。 部屋を見渡してみるが、散らかってるのが手伝っているのか邪魔をしているのか、結局持っていくべき物は最低限の暇つぶしグッズの他にはなかった。 何となく物足りない。そんななか思いついたことがあった。 1 / 3 | NEXT
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